・201系

クハ201-48以下10連  1979(昭和54)年、省エネ化の社会的要請という背景の下に試作車の登場した形式です。量産車は1981年から85年までに約1000両が製造されました。
 主回路のシステムは既に一部の民鉄で使用されていた逆導通サイリスタによる電機子チョッパ制御で、2相2重式であることも標準的なものです。回生ブレーキに関しては高速からの制動に対応させるため、高速域でのみ回路中に抵抗を挿入するよう設計されています。他にも、ノッチオフ時にチョッパ装置で電流を絞った上で断流器を用いる無電流遮断など、様々な新機軸が盛り込まれています。
 車体についても上段下降下段上昇式ユニット窓の採用やガラス支持の非Hゴム化、外板の一部にステンレス材を使用する劣化対策などが施され、全般的にコストの上昇が著しく、最終増備車では様々なコスト低減策が施されました。
2000.9.9 中央本線三鷹駅にて撮影
 モハ201-902(試作車)走行音[201-902.ra/168KB] 直接再生
 試作車の走行音です。チョッパ制御車の特徴である「ブーン」というノイズは基本的にチョッパ装置の動作周波数によって決定するため、一貫して同一の周波数で製造してきた国鉄のチョッパ制御車では試作車であろうと量産車であろうと、201系であろうと203系であろうと、同一周波数の音が鳴るにすぎないわけです。チョッパ車の録音は一貫してチョッパ装置付近で行っているため判別はできないのですが、モーターの回転系の音には個体差はあるのかもしれません。MT54形電動機の車両にあれだけの差があるわけですから・・・。
 録音は総武本線浅草橋→両国間です。
 モハ201-34(量産初期車)走行音[201-34.ra/230KB] 直接再生
 量産初期車の走行音です。この録音は夕方ラッシュ時にチョッパ装置直上のドア付近でマイクを下の方に向けて適当に録ってみたものなのですが、典型的な「無惰行運転」状態で、201系の特徴がほとんどわかってしまうような走行音になっていると思います。
 低速域の加速では一定の周波数の音が響き、高速域では接触器による1段階の弱め界磁制御を行うものの、チョッパ装置の短絡は行わないため、高速域でもチョッパ音が聞こえているようです。そして、ノッチオフ時にはチョッパ装置によって電流を小さくする無電流遮断を行うためにいったんチョッパ音が大きくなってから消えるようです。
 減速時には途中(60km/hくらいだと思います)で一瞬チョッパ音が途切れ、乗っていると前後動の走る(音声ファイルでもそれと思える音が聞こえます)ときがあるわけですが、これより高い速度では回路中に抵抗を挿入していて、この衝撃の走る瞬間に抵抗をはずしているようです。
 録音は中央本線武蔵境→東小金井間です。それにしてもよく飛ばすこと・・・。
 モハ201-102(量産中期車)走行音[201-102.ra/232KB] 直接再生
 モハユニットの97〜157番がここに該当するのですが、制御装置に回生時の全界磁・弱界磁切換の方式変更などへの対応を施しているそうです。とは言うものの音を聞いたところで差は特にないようです。チョッパ音の聞こえ具合が上のファイルと違うのは場所がややモーターに近いところだったからというだけです。
 録音は中央緩行線西荻窪→荻窪間です。豊田電車区所属車ですが、夜間の中央緩行線経由の列車での録音です。
 モハ201-285(軽装車)走行音[201-285.ra/241KB] 直接再生
 モハユニットの264〜299番までがこれに該当し、最も目立つところでは従来の201系が車号をステンレスの切り抜き文字で表記していたところを一般的な転写文字に変更したり、側窓を上段下降下段上昇式のユニット窓から一般的な上下段とも上昇するタイプに変更されるなど、コスト削減が行われているのが特徴となっています。
 音の面ではチョッパ音の高さは当然同じですが、このグループからか、あるいは主サイリスタの素子変更、補助サイリスタの転流係数変更などを行った158番のユニット以降かは不明ですが、明らかにチョッパ音が小さくなっています。201系に乗る機会がそれほど多いわけではないのでどちらなのかはっきりとはわかりませんが、仕様変更の内容を調べた限りでは158番から変更されている可能性が高いのでは、と考えています。
 録音は中央緩行線荻窪→西荻窪間です。
・その他の201系の姿
 こちらは総武・中央緩行線で活躍するクハ201-154以下10連です。中央線の快速系が201系に統一された後ではこの総武・中央緩行線と、関西の東海道・山陽緩行線の2路線に投入されましたが、どちらも完全な置換えとはなりませんでした。特に総武・中央緩行線についてはそれほど本数も多くなく、近い将来209系とE231系で統一されるということも決まり、いくつかの路線に転属することも決定しているようです。つまりこの黄色の201系も先は長くないようです。
 1999.1.4 総武本線錦糸町駅にて撮影
 こちらは関西の東海道・山陽緩行線で活躍するクハ201-121以下7連です。201系唯一のスカイブルー塗装でしたが、今では京葉線に同様の塗装が登場していて、関東でも見られる色になってしまいました。スカートの形や編成構成にはもちろん違いはありますが。
 1999.9.8 東海道本線山崎〜高槻間にて撮影
 こちらは試作車であるクハ201-902です。登場時は試作車のみで8M2Tの10連を組んでいましたが昭和58年の量産化改造で1ユニットを電装解除した6M4T編成となり、更には総武・中央緩行線のATS-P導入時には試作車にのみ存在するクモハ200形に搭載スペースがないことからか、試作車は全て中間車扱いになるということで、このように常に閉じ込められた状態になってしまいました。気になるのは今後で、他線区に転じてまで使用されるのか、あるいは総武・中央緩行線からの201系引退を機に廃車となってしまうのか、動向が注目されるところです。
 2000.9.9 新宿駅にて撮影
 試作車であるモハ201-904のチョッパ装置です。形は初期の量産車とそれほど変わらないようにも感じられますが、実は設置されている向きが全く逆だったりします。メーカーについてはプレート類が見られなかったので不明ですが、あるいはゲート制御部の方にあるのかもしれないですね。
 2000.9.9 新宿駅にて撮影
 これは量産車のうち、前半のグループのチョッパ装置です(モハ201-120)。たぶんモハ201-157までの車両がこの形では、と思われます。写真は東芝製の装置で、昭和時代(正確な時期は不明ですが)にはこのような筆記体の「Toshiba」のロゴが入っていたようです。車両によっては試作車のように、メーカー名のないものもあるようです。
 2000.9.9 中央本線三鷹駅にて撮影
 量産車のうち、モハ201-158以降で採用されていると思われるチョッパ装置です(モハ201-201)。前半の車両と似ているようで、実は結構目立った違いがあるのも分かると思います。203系でもこれと同じものが使われているようです。
 写真の装置は東洋電機製で、「TDK」をあしらったマークが入っています。最近の同社製の装置ではやはり違った表記になっています。
 2000.1.1 新宿駅にて撮影
 こちらは、量産車、モハ201-120の台車です。電動車はDT46、付随車はTR231という空気バネ台車を装備しています。国鉄の通勤形電車では301系に次ぐ2例目の空気バネ台車のようです。付随台車についても、ブレーキ関係が少し違いますが、外観的にも大きくは違わないようです(細かくいえば違いはあるけど文章にできない・・・)。
 2000.9.9 中央本線三鷹駅にて撮影

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