クラヴィコード製作日記 − 98.5




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98.5.1

左側板を糊付けした。クランプで止めて少し乾き始めた頃に,若干bass hitchrailとの間に隙間があることに気付いた。再び削りすぎないように気を使いすぎ,逆に削り足りなかったためにそうなってしまったらしい。まあ今更仕方ないし,わずかなのでそのまま続けることにした。

98.5.2

本体全ての側板が固定された状態(写真a)。 次に,bass hitchrailとrackの上面をきれいに見せるためのcappingという板を加工した。用意されているのは幅一定の板切れで,これを適切な寸法に加工して張り付ける。説明書には書いてないが,図面ではrackの方のcappingは,rackのテーパーに合わせて斜めに削ったものになっていたので,鉋でそのような形にした。また2つのcappingは左奥の隅で,斜めにカットされたラインが接するように加工する(写真b)。写真cは完成したcapping。ピンを挿す穴の位置を,この段階で図面から写し取っておくように指示されている。図面の複写に問題があるようで,実寸の1/1.008倍になってしまっている。仕方ないので図面から寸法を測り,それを1.008倍したところにマークしておき,それから材料に押しピンを使って写し取った。

a

b

c

98.5.3

外からbaseboardの地が見えないようにするbaseboard mouldingsを本体の4面の下の部分に張り付ける。これも寸法が若干大きめになっており,ノミで削ってから固定する。削り方にもだいぶ慣れたが,やはり若干削りすぎてしまったところもあった。しかし,ごまかし方も心得始めたので,あまり仕上がりには目立たないようにできた。写真aはクランプ,仮止めテープで固定している状態,写真bは全てのmouldingの取り付けが終わった状態。

a

b

98.5.4

前に加工したcappingを糊付けした(写真a)。 おねえさんが響板には花の絵を描くのだと主張し,トールペインティングの材料を少し買いにキンカ堂に出かけた。取りあえず練習用にベニヤ板にサンドペーパーをかけ,それに描いたものが写真b。結構よい出来だったので,採用することにした。響板の加工までにいくつか練習をすることに決定。

a

b

98.5.5

鍵盤の左右の側板を取り付けるため,これを加工する。用意されたものはおおざっぱな加工は済ませてあるが,他の部品を避ける部分が切り取られておらず,また例によって寸法が大きめになっているので,加工しなければならない。まず左側を加工・取り付けした(写真a)。その際,balance rail(鍵盤の支点になるレール)を所定の位置に仮に置く必要があり,そのためにbalance railの右上の,diagonal braceとぶつかる部分をカットする(写真b)。右側の板も同様に加工した(写真b)が,取り付けは後でする。

a

b

98.5.6

belly railはdiagonal braceをまたぐような格好に切れ込みが入っているが,供給されている状態ではdiagonal braceの幅より小さく切ってある。これをノミで拡げて所定の寸法にする(写真a)。balance railは,belly railを所定の位置に取り付けるとこれともぶつかるので,その部分もカットする(写真a,b,c)。図面ではbelly railと鍵盤の右側板は丁度接するようになっているが,供給されているbelly railは若干長すぎて,おさまらないことがわかったので,1mmほど削って,丁度よい長さになるように仕上げた(写真a)。

a

b

c

98.5.10

belly railを取り付ける前に,wrest plankと同様に,共鳴のための切れ込みをつける(写真a)。説明書では12mmの深さに削るように書いてあるが,12mm削ってしまうと音穴にぶつかってしまうので,ぶつからない範囲でなるべく深く削っておいた。以上の準備の上で,balance rail,case-front reinforcement(本体前面の内側の補強角材),鍵盤の右側板と,belly railを糊付けする。この日は,まずcase-front reinforcementとbalance railを取り付けた(写真b,c)。

a

b

c

98.5.11

belly railを糊付けした。

98.5.12

鍵盤の右側板を糊付けした。これでsound board(響板)の周囲が囲まれたことになる(写真a)。

a

98.5.14

本体の前後と鍵盤右側板の内側(合計3カ所)に,sound board linerという角材を貼り,その上にsound boardを乗せる(wrest plankとbelly railはこのlinerと同じ高さになっている)。sound board linerは例によって大きめにカットされているので,現物あわせで適当な大きさに仕上げ,糊付けする。この日はまず本体前面の内側のものをカットして,糊付けした。

98.5.15

鍵盤右側板の内側のlinerをカットし,糊付けした(写真a)。

a

98.5.16

このままでは鍵盤右側板内側のlinerの右側の線からbelly railがはみ出しており,説明書によるとこれをノミで削ってlinerの線とあわせよと書いてある。ここはsound boardに隠れるところだと思うのだが,一応説明書通りに削ってまっすぐにした(写真a)。本体後面の内側のsound board linerをカットし,糊付けした。

a

98.5.17

本体後面のlinerをつけてしまってから,belly railやwrest plankと同様に共鳴のための切れ込みをつけなければならないことに気がついた。つけてしまってからだったのでかなり細工がしにくかったが,なんとかできた(写真a)。これで本体部分の加工は,sound boardの周辺を除いてほぼ完成した(写真b)。次に,sound boardの加工にはいる。まず真四角に切ってあるsound boardの材料を,所定の形にカットする。図面を乗せて形を写し取るように指定されているが,例によって図面が実際よりも小さくてそのまま使えないので,1.008倍した寸法の位置にマークし,これから材料に写し取った。これをカッターで切り取った(写真c)。更に鉋やカッターを用いて大きさを微調整していった。次にsound boardの裏側を部分的に薄くする作業を布ヤスリ(60番)で始めたが,屋外の風があまりに強くて,作業にならなくなってしまったので中断。bridge(写真d)の加工を少し行うことにした。bridgeに挿すピンの位置を,これまた図面からとるようになっており,またしても図面の位置を1.008倍してマークし,それを材料に写し取った。

a

b

c

d

98.5.21

bridgeピンの穴をあけた。角度を持ってあけるため,チップボードを組み立てて作る小さな作業台にbridgeを乗せ(写真a),それをドリルスタンドの台に乗せて一定の角度で穴をあけていく。ドリルスタンドは持っていないので,大学にbridgeと作業台(の材料)を持っていき,研究室にあるドリルを使った。

a

98.5.23

穴をあけたbridgeを,所定の形の断面になるように削って仕上げる。形を決める作業は殆ど小刀で削って行った。非常に固い材質で,かなり手が痛かったが,2日ほどかけてほぼできあがり,紙ヤスリで仕上げた(写真a)。それから,sound boardの裏側を薄くする作業を続行し,仕上げた(写真b)。また,sound boardの裏には1本sound barという角材を張り付けるが,これを所定の長さにカットし,両端を説明書の指示に従って削って仕上げた(写真c)。

a

b

c

98.5.29

説明書ではsound barはsound boardに貼り付けてから角を削って台形になるようにせよと書いてあるが,どう考えてもやりにくそうな気がしたので,貼り付ける前に,小刀で削った。

98.5.30

sound barはsound board linerに若干はみ出すようにsound boardに固定するので,そのはみ出す部分を避けるようにsound board linerを少し削らなければならない。ノミと小刀で浅い切れ込みを作った(写真a)。sound barを乗せて,ちょうどsound board linerのレベルと同じになるように(写真b)切れ込みの深さを調節する。

a

b

98.5.31

sound boardにsound barとbridgeを貼る作業は,sound boardを日光にさらして2mmほど寸法を縮めた上で行う必要がある(sound boardの割れの防止のため)。6月になって梅雨入りしてしまう前にこの作業をやりたかったが,この日はよく晴れ,湿度も割に低かったようなので,作業に絶好の日和だった。sound boardをベランダで直射日光にさらし,所定の寸法になったところでsound barの位置を決めて,糊付けした(写真a)。糊が乾く間にまたsound boardは延びてしまうので,もう一度日光にさらし,今度はbridgeを貼り付けた。写真bはsound barを貼り付けた裏,写真cはbridgeを貼り付けた表の出来上がり。

a

b

c



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