ツィンカ

Illustration:Tu

連合議会軍の宇宙用量産型TU。A.G.インダストリー製。性能的にはそこそこであるものの、廉価で生産性の高い機体として開発された。

もともとA.G.インダストリーでは、ツィルの後継宇宙用TUとしてツィーデフの開発を進めていた。だが、宇宙・地上各装備の無換装運用を目指したツィーデフは、試作機は完成したものの、主にコスト面の理由で量産化が難航していたのだ。そのバックアップ案として開発が進められたのが、ツィーデフとは逆の、低コスト宇宙専用機というコンセプトを持つこのツィンカである。

だが量産設計まで進んだ段階で、計画はストップされる。軍首脳部は、次期宇宙用主力TUとしてヴィンデのベーチュオンを選んだのだ。開発力ではA.G.インダストリーに劣るヴィンデだが、ベーチュオンでは地上での性能をやや犠牲にすることにより一定のコストパフォーマンスを確保していたのだった。

こうして各要塞衛星をはじめ重要拠点にはベーチュオンが配備された。しかしその後、要塞衛星ガノケリスが第三勢力の攻撃を受け、その主力TUボイキド・カーレの圧倒的な数の力の前に、あっさりと陥落する(ガノケリスは第三勢力の制圧後、さらにケダブールの手に渡る)。ベーチュオンの数は、ボイキド・カーレのそれと比べてあまりにも少なかった。ヴィンデの量産能力の問題もあったのだが、ツィルによるプレオス制圧の記憶を引きずっていた軍首脳部の、「高性能」への過信が仇となったのだ。

慌てた軍上層部は、A.G.インダストリーにツィンカの生産を指示する。こうして急きょ生産が開始されたこのツィンカだが、数ヶ月後に起きた第三勢力の次の大規模攻撃までには十分な数を確保することができず、連合議会軍はその最重要拠点、要塞衛星ステガギガスを失う寸前まで追いつめられることになる。

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