ツィル

Illustration:Tu

統一国家連合議会軍の宇宙用TU。ツィーダ開発時よりやや未来の機体。ツィーダ同様、巨大多国籍企業A.G.インダストリー社によって開発された。

<開発背景>
当時、何かと統一国家連合議会への敵対姿勢を見せていた月面国家プレオス。そのプレオスが「オータム」と呼ばれる独自のTUを開発しているという情報を得た政府は、巨大多国籍企業A.G.インダストリー社に対して強力な宇宙用TUの開発を指示した。従来、政府はそれまでの主戦場が地上であったため、宇宙用TUの開発を積極的には推進してこなかったのだ。

A.G.インダストリー社にとってもこれは由々しき問題であった。これまでA.G.インダストリー社は、ヴィンデ、トパス、イブセといった統一国家連合の各社にTUの基本技術をライセンス供与していた。各社がTUを作れば作るほど、A.G.インダストリー社が儲かるという仕組みである。だが、プレオスのM・E・キングダム社が独自のTUを開発したとなれば、このA.G.インダストリー社の優位性も薄れてくる。

もっとも、企業規模でA.G.インダストリー社を数段下回るM・E・キングダム社がTUを開発できた背景には、月面用に特化したため地上での戦闘能力を考慮せずにすんだから、という見方もあった。しかし、A.G.インダストリー社の威信が脅かされたのには変わりはない。

このような背景によりA.G.インダストリー社が全力を挙げて開発した宇宙用TU、それがこのツィルである。実際、カタログスペックではオータムを圧倒すると思われる機体に仕上がった。

ツィル開発主査クラーク・クロフォード談
「オータム? フッ、あんなまがいモノ、このツィルと比較しないでいただきたい」

ただ、のちに統一国家連合議会とプレオスが武力衝突を起こした際、オータムを圧倒すると思われたツィルだったが、月面育ちの手だれたパイロット達が操るオータムにかなり苦戦したことが伝えられている。

Illustration:おやじ

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