ギボン

Illustration:江神号、無学

ギボンはズジュの数珠繋ぎの腕構造や、長い腕、短い足が肩にかける負担を試験するテスト機で、当初一機のみが製造された。短い足で行えない動きを長い手を使ってカバーするオラウータン的な動き、「モンキーモーション」を歩行プログラムに初めて導入した機体でもある。

テスト機なのでホイールも新品が使われていたこともあり、このモンキーモーションは、ギボンの関節の広い稼動範囲と相まって、特に山岳部などの進軍が困難な場所で想像以上に高い性能を見せた。この結果、テスト機だったこの機体は局地専用TUとして量産化する運びとなったのである。

脚部サイドにマシンガンを搭載し、身体を手で支えて足を上げて射撃する「ブランコショット」や、マカラから引き継いでいる投網、トリモチなどの特殊武装で戦場をかく乱するクセモノである。

<試験型>

Illustration:江神号、無学

試験型はマカラの設計図ほぼそのままで、量産型は胴体だけ同じ大きさにすることでエンジンパワーを最低限残して、あとは小型化されている。

「なぁ、このギボン、でかくねー?」
「ああ、試作機だよ。別の機体のデータそのまんま使ったせいで最初はでかかったんだよ」
「なんで小さくなったのよ?」
「コスト。トパスは昔も今も楽じゃない、ってね。安い機体じゃないと、コンペに負けるんだってさ」
「へー。厳しいねー。ま、俺にゃ関係ないけどさ」
「おいおい。テストパイロットだろーがお前」

Illustration:江神号、無学

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