SHOH's LIVE REPORTS

Thunder Live In Japan,1997(4) (Jan 26, 30, Feb 1,1997)


入りベーシストのクリスが、まだちょっと緊張したような感じでベースを弾き始める。彼はすごく痩せてて背が高い(180cmちょっとらしい)ので、ベースを弾く姿が不思議な感じ。ピックを使って弾いてるせいもあるのかも。彼ってちょっと若き日のロブ・ハルフォードに似ているという話が仲間うちで出た。確かに髪をなくした状態を想像してみるとけっこう似てるかも。 ほっそりしているので若く見えるけど、近くで見ると意外に皺が深い。どうもメンバーより年上みたいね。でも、彼、最後のほうではかなりリラックスしてきて、ステージから客席に向かって笑顔も出るようになった。なんだかほっとしてしまった。THUNDERというバンドには、いつも家族みたいに暖かい雰囲気でいてほしいから。

"HOTTER THAN THE SUN" はかなりファンキーな曲で、今までのTHUNDER の曲とはちょっとノリが違うから、ライブでどうやって演奏するのかと思っていたが、けっこう普通っぽかった。というか、まだこれから練り上げていくのかなって感じ。

途中でいきなりのブレイクが入り、ダニーが歌をやめてしまった。何かを期待するかのように、黙って会場を眺め回すダニー。まるでいたずらっ子のように、目をきらきらさせ、なにか面白いことを言ってやろうとタイミングを計っているのが手にとるようにわかる。

しかし、ギャグを言う前に、客席から男の声で「かも〜ん!」という声がかかる。驚いて固まってみせるダニー。

なんとか曲がつながり、最後は全員の音がピタッと合ったかっこいいエンディングだった。ふぅ。

ここでハリーが今度こそほんとに降りてくる。ダニーが真面目くさって挨拶する。

「紳士淑女のみな様、再びお目にかかれて大変うれしく思います。わたくしどもも心より楽しんでおり、感謝に堪えません。次の曲はルーク・モーリー氏のギターと、そして歌をフューチュアーしてお贈りいたします」

なんか新譜のボーナストラックに入っていたおふざけセッションみたい。

ルークのスタンドマイクにはアコースティックギターがセットされ、ルークはスツールに座っている。

ダニーがマラカス、ハリーが木でできた叩くもの、ベンが肉叩きみたいな形でギリギリ回して音を出すもの(うぅぅ、こういう民族楽器って名前を知らないのだ)をそれぞれ手に持って中央のマイクスタンドに集まっている。

紹介されたルークが「とってもチープなブラジリアン・パーカッショントリオをご紹介します」とギャグると、すかさずハリーがポルトガル語のつもりか意味不明の叫びを聞かせてくれる。

(補)大阪では「あらゆるパーカッションをすべて壊しまくった挙げ句に完成した」なんてルークに紹介されてました。ダニーがすかさず「僕たち3人のことブラジル人だと想像しながら聞いてね」なんて返したりして。おまけに客席から「ハリー!」という掛け声(男の声)がかかると、ダニー「ご紹介します。スーザン・ジェイムズです」ハリー「すーざん〜?」ダニー「そーだよ、きみの名前だろ」まったくもう、漫才やってるんじゃないんだからぁ。
ルークが「1ワン、2トゥー、3スリー、2トゥー、2トゥー、3スリー」 と掛け声をかけ、ギターを弾き始めた。この掛け声、いかにもスタジオでやってるときみたいで、ものすごくかっこいい。「よっ!バンマス!大統領!」なんて声をかけたくなってしまったほど。

ルークの歌は、アルバムで聴くよりはちょっと語尾が甘い感じで、やっぱり素人かなって感じだけど、甘い響きがなかなかセクシー。例によって長い髪を顔の前にたらしてギターと歌の両方に集中してる姿は、いつもはダニーのことばかり見てしまう私ですら目が放せなくなるほどの吸引力だった。

中央の3人はしごく真面目に、でも楽しそうにパーカッションを鳴らしている。この演出なんて、きっとみんなでふざけてるうちに思いついちゃったんだろうなあ。

2小節目に入り、ダニーがヴォーカルをつなぐ。その声の力強さと魅力に倒れそうになる。ルークには悪いけど、やっぱりダニーは並みのヴォーカリストではない。一緒に歌うと引き立て役にしかなれないのね。でも、きっとそれを承知のうえでの構成なんだろうなあ。やつらの関係は深い。

それにしてもこの曲、新譜の中でいちばんライブ映えがしたのが意外といえば意外だった。アルバムの中では、あまり考えずにポイッと作って仕上げちゃったような印象があって、それほど深い曲とも思えなかったのだ。これだからTHUNDER は困る。あなどっていると、とんでもないところでひっくり返されるからなあ。←うれしい誤算だけど(^_^)

(補)名古屋では、ベンが使った楽器をポイッと無造作にマイクの前に投げ捨てて、自分の場所に戻ってしまった。「あれま」と思いながら見ていたのだが、ドラム台のところまで自分のマラカスを置きにいったダニーがそれをみつけて黙って拾い上げ、もう一度ドラム台のところまで片付けにいったのを見て、「意外にダニーって世話焼きなのかも」なんて思ってしまった。もっとムッとするか、ふざけてベンに注意するかと思ったんだけどね。やはり小さな子供が3人もいると、自然と人間ができてくるのかもしれない。

つづく


1997 I INDEX I