Thunder Live In Japan,1997(2) (Jan 26, 30, Feb 1,1997)
「次の曲は新譜からの最初のシングルだよ。みんなニューアルバムは買った?」「は〜い」「気に入った?」「もっちろ〜ん」
「わお、ありがとう(^_^)! "DON'T WAIT UP" だよ。みんな踊ってね」
ダニーがぴょんぴょんジャンプしながら踊る。もちろん私たちも跳ねる。頭の片隅をビデオクリップがちらっとよぎったが、すぐに追い出す(^^;)。 途中の「へいへいへい!」という掛け声もルークとクリス。このふたり、どちらも背が高いからダニーの両脇に立ってコーラスをつけると、なかなか絵になっている。ライブハウスではステージが狭いからちょっと効果が薄いけど、ホールの広いステージだとさぞかしかっこいいだろうなあ。
(補)と五反田を楽しみにしていたんだけど、あんなことになってしまい、とてもそんなことに気持ちが回る余裕はなかった。でも、ライティングなど、さすがホールという箇所は随所に見られたんだけどね。あれでダニーが万全の体調 で臨んでいたとしたら、今回ツアーの中でも出色の出来になってたんじゃないかと残念でならない。確かに彼らはクラブで楽しいバンドではあるけれど、ホールでだってスタジアムでだってやれるだけの実力をもったバンドなのだ。そのことが証明できる唯一の日だったのに、と思うと、なおさら彼らの悔しさが推し量られて泣けてくる。「どんうぇいあっぷ」のところを一緒に歌い、おおいに盛り上がって曲が終わると、満足そうにダニーが「なんてラブリーな連中なんだ」と叫んだ。エクサレントとならんで、ダニーお得意の単語だ。機嫌のいい証拠。とだえることのない大歓声に、ダニーはうれしそうに右、左と煽ってみせる。
「みんな元気だね(^_^)。 じゃあ、そろそろムードのある曲にいこうか?」
アップテンポな曲が続いてそろそろ足が疲れてきたのをみはからって、新譜からのセカンドシングル"LOVE WORTH DYING FOR"が始まった。
さっきまでのお茶目ぶりはどこへやら、ダニーはこぶしをぎゅっと握った両手を体の前で合わせ、肩をすぼめて目を閉じ、全身で歌に没頭している。
自己陶酔しているとも思えるほどナルちゃん入っているけど、それでも素敵。髪が短くなってかなりがっかりした私だけど、このときばかりは「ダニーってやっぱり美しいわ」とうっとりしてしまった。
BON JOVIのジョンもそうなんだけど、顔立ちのいいロックミュージシャンが髪を切って短くすると、なぜか急に映画俳優みたいに見えてくる。ダニーの場合も、歌う姿を見ながら「どこかで見たことがあるなあ、この顔。トム・クルーズみたいでもあるし、リチャード・ギアにも見える」なんて考えてしまった。
ベンのキーボード、ルークのギター、ハリーのドラムと、この曲の魅力はさまざまな部分にあるんだと気づいたのもライブを見てから。特にハリーのドラミングって、バラードなのに力強く、それでいて曲の雰囲気を壊すどころか、さらに感情の波を盛り上げるような方向に持っていく。彼のドラムでTHUNDER というバンドの核がしっかりしてくるんだと納得。
ルークはギターソロになると、ギターをぐっと下のほうに下げるようにして体をそらし、肩に力を入れ、苦しそうに眉間に皺を寄せる。そして、顔にかかる髪を「ふっ」と息を吹き掛けて払うのだ。うーん、もうたまらない〜。毎回おなじみなのに、見るたびに「きゃあ(=^^=)」となってしまう。
(補)それにしても、この曲がいちばん素晴らしかったのはチッタだった。前日の五反田で歌えなかった分をとりもどそうとするかのように絶唱するダニーの姿は、涙なしでは見られなかった。曲が始まったときには「どうか無事に歌いきれますように」と祈るような気持ちで握りしめていた両手が、途中から感動のふるえをおさえるためのものに変わり、最後はあふれる涙をふくことになったという。
(補)もうひとつ、五反田ではこの曲でのルークのギターが素晴らしかった。ダニーの不調をなんとかカヴァーしたいという思いが痛いほど伝わってくるような響きで、あれほどエモーショナルな音は過去のTHUNDER のライブでも聴いたことがなかったと思う。
(補)さらにもうひとつ。チッタでなんの曲だったか、ルークが目の前で「ぐわっ!」と髪をかきあげ、返す手でギターの弦をまるでイングヴェイかヤニック・ガーズみたいにハープ弾きしたときには、思わずのけぞってしまっった。顔 の表情まできまりまくってたんだもの。前でチッタのカメラマンがビデオ回していたけれど、次にチッタに行ったときには、あの映像が見られるのだろうか。