今回はダニーがインフルエンザにかかってしまい、五反田で声が出なくなるというショッキングな出来事もありましたが、それでも最終日のチッタではなんとか世界一のライブバンドとしての意地を見せてくれたTHUNDERでした。

個人的にはいちばん感動したチッタを下敷に、とも思ったのですが、あまりにもイレギュラーすぎるので、とりあえず何事もなくすんでいた名古屋（しかも唯一ルークがレスポールを弾いた日）を元にして、他の日の思い出も混ぜこみながら書いていきたいと思います。

思い入れが強過ぎて、内容に偏りあるいは勘違いがあるかもしれません。ＭＣも聞き取れなかったところは適当に、聞き取れた部分も、その場の雰囲気に合わせてかなり意訳しています。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

客入れの音楽はかなりポピュラーなものが多く、しかも傾向がバラバラ。スタッフが持ってるレコードを適当に入れてきたのかしら。でも、有名な曲ばかりだけに客席で首を振る姿が目立った。

"ACE OF SPADES"、"PARANOID"、"SMOKE ON THE WATER"、"EYE OF THE TYGER"、"CAN'T GET ENOUGH"、"ALRIGHT NOW"、"IN A BROKEN DREAM"（あっれ〜原曲だ）"MANNISH BOY"などなど。

場内が暗くなり、おなじみAC/DCの"THUNDERSTRACK"が始まる。「さんだー！　さんだー！」客席からサンダーコールが巻き起こる。お、名古屋の客は元気だぞ。

メンバーがステージ左袖からばらばらと出てきた。ベン、クリス、ルーク、ハリー。そして。ひと呼吸おいてダニーがステージ中央のスタンドマイクの前に立つ。

「はろー！今夜はおおいに楽しもうぜ！　さあ、やってくれ！」

ちゃっちゃらっちゃらちゃらちゃらっとベンのレスポールが響く。ダニーが足を大きく広げ、左右に体を揺らしながらこぶしを大きく振り下ろす。ハリーのドラムがいつも通りの小気味よいリズムを刻み始める。ルークのギターがメロディをかなでる。"BACKSTREET SYMPHONY"だ！

客席はあっという間に沸点に達した。みんなこぶしを振り上げながら一緒に歌い、体を揺らしている。上から見ていると白い腕が何百本も揺れる海のようだ。

だだだだっだだだだっだだだだっだだだだっ！　最後の詰めでハリーの力強いドラミングに全員が合わせる。ベンとルークがステージ中央に出てきて、大きくギターを掲げた。左効きのベンと右のルーク。あの左右対称形のポーをまたこうして見ることができた。

感激が胸に迫り、のど元にぐっとこみあげるものがあったが、彼らはそんな感傷は許さない。ＭＣもなしに次の曲が始まった。横揺れする客、「手拍子してくれ！」ダニーが叫び、クリスのベースが響く。ダニーがドラム台に近づくと、マラカスを手にして戻った。

「ななな〜ななな〜な」、ルークとクリスがスタンドマイクに向かい、コーラスを始める。ルークの髪は肩にかかるくらいで、前も後ろもおんなじ長さ。その長い前髪が顔を半分くらい覆った状態でコーラスをとるので、表情がよく見えない。新譜からはまず"PILOT OF MY DREAMS"これはなんとなく予想通り、というか、オープニングにふさわしい曲だと思っていたが、古強者のTHUNDER のこと、無難に"BACKSTREET〜"で始めたのね。

当然ながら「ななな」と「げっだん」の部分は、ダニーに要求されるまでもなく客席も大コーラス。それなのにダニーってば「もっと大きな声で」なんてさらに煽る。髪が短くなったせいか、首をちょっと曲げ、目を大きく見開いて上を見上げるおなじみの表情が、ものすごく子供っぽく見える。

「べりーぐ〜っど」きゃあ、ほめられちゃった(=^^=)

しかし、落ち着いてよく見ると、なんだあのダニーのかっこは。大阪では平らなスタンディングフロアだったので下半身がほとんど見えず、なんかオヤジくさいポロシャツ着てるなあ、程度のことしか感じなかったんだけど、きょうは２階からだから全身がばっちり・・・見えてうれしい姿ではなかった。

色あせた黒の半袖Ｔシャツ（しかも洗いすぎて縮み、ピチＴになりかけてる）に紺のジャージ。よく高校生が体育の授業ではいてるような蛍光グリーンの３本線が入った、ほんとのジャージ。決して決してお洒落用のものなんかじゃない。しかもダニーって、イギリス人にしては足が長いほうじゃないから、裾のほうでだぼだぼとたまっている。足下は黒の革靴。

そりゃあねえ。ASH とかSUPERGRASSとか若いイギリスのギターバンドの連中は線の入ったジャージ着てますよ。でも、年とプロポーションが違うのよ〜、ダニー。おんなじようには見えないんだから〜。

ルークは黒で織り柄の入ったベルベット風の長袖シャツを裾を出して着ている。下は黒のジーンズ、ベンは黒の半袖Ｔシャツに黒の織り柄が入ったサテン風のパンツ。このパンツはチッタで目の前に見たらすっごくお洒落で凝っていた。ベンって案外スタイリストなのかもしれない。クリスは青の長袖シャツにブルージーンズ。痩せてる体がだぼっとしたシャツの中で泳いでいるみたいでなかなかいい感じ。ハリーはよく見えないけど黒の半袖Ｔシャツに黒のスパッツだったと思う。

このように、ダニー以外のメンバーはみんなそれなりにさっぱりと似合った服を着ていて、全体のまとまりもいい。あ〜あ、いくら歌が巧いからといっても、もう少しビジュアルにも気をつかってよねえ＞ダニー。髪を切ってからというもの、ステージでかっこつけることをやめてしまったのだろうか。普段着とか見るとなかなかお洒落なんだけど。動きやすさ第一、というのはわかるんですけどね。