SHOH's LIVE REPORTS

King's Call(Tribute for Phil Lynott) (Jan 4,1996, Dublin)


Part 2

よいよ会場に入る。天井がものすごく高い。2階まで吹き抜けのようになっていて、2階に向かうエスカレーターが1階ロビーの中央にある。まずはロビーでグッズの物色、と思ったが背の高い人がたくさん群がっていて、なにがなんだかよく見えない。

仕方がないのでいったんエスカレーターを上って2階まで行き、上からじっくりと売場を眺めた。Tシャツが3種類。ひとつは日本公演でも売っていたBLACK ROSE柄のもの。もうひとつは前にサイクシーが着ていたフィルの横顔が大きく描かれた紺。そしてもうひとつが今回のKING'S CALL コンサート用のもので、ポスターにも使われていた、フィルが下を向いて肱をつき、煙草をくゆらせている写真が正面に描かれたもの。背中にはツアーデートが入っている。あとはパンフレットにポスター、それにごっつい革のベルトだったかな?

どれを買うのかを決めて、また下に降りていく。思いきって人波の中に分け入ってみると、なんだかいやに日本人が多い。カウンターの最前列までたどり着いたときには、前後左右で日本語が乱れ飛んでいる状態だった。

この夜ラジオで流していた放送でも、アナウンサーが日本人が多いことについてふれていたらしい。もっとも、世界じゅうの国からファンがきていたにしても、見てすぐそれとわかるのは日本人くらいで、ヨーロッパ諸国の人間だと、話してみなければ見分けがつかないわけだから、日本人だけが物好きのように思われるのは心外だわ。

それにしても、みんな買う買う。日本人に限らず、私の前にいたアイリッシュも、ほとんど全部のアイテムを買ってたようだ。私もちゃんと買物用の大きなビニール袋を持参してきていて、買ったものをしっかりそこに詰め込んだ。

2階のロビーには、ビールを売る売店が銘柄別に何軒も並んでいる。さすがアイルランド。ほんとうはギネスでも飲みながらコンサートが見られたら最高だったんだけど、なにしろ5時間もあるというのをさっき会った友人に教えられたもので、すっかりびびってしまった。ライブを一瞬でも見逃したくないから、トイレタイムなどとっていられない。というわけで一切の水分はとらずに我慢我慢。

会場は、1階のステージ前方の広い空間がすべてスタンディング席。聞いた話だと7000人くらい入るらしい。今はまだ人もぱらぱらという感じで、最前列5列くらいを除けば並んでいる人も少ない。

そのスタンディング席をぐるっととり囲むような形で2階のバルコニー席があり、武道館の1階席をもっと幅を狭く、奥行を深くしたような感じ。ここには1500席あるらしい。スタンディングと合わせて8500人収容というわけだ。

私の隣は30代前半くらいの男女のグループ。30代前半とはいっても、こっちの人って20過ぎると急速に老けるので、見た感じはすでにおじさん、おばさんという印象。私の前の席にはひとりで来ている、これまた小太りのおじさん。回りを見回しても若い人ってほとんどいない。指定席に来ることからして中年なのかしら? 若い人はみんな階下のスタンディングに行ってしまってるのかもしれない。

指定席にしたことをちょびっと後悔。でも、私みたいに背が低くて、しかもこんなに荷物が多かったら(来たときは手ぶらだったけど、今ではTシャツの行商人みたい)、とてもじゃないけどスタンディングになんて行けない。まして今夜は5時間もの長丁場だし。

ステージ横にはスクリーンが掛かっていて、ビデオクリップやTVで放映された映像などが次々に流れる。ほとんどは初めて見るようなレアな映像だ。特に、RTEだと思うが、スタジオで収録したライブ映像がすごくいい。「SARAH」や「DUBLIN」、などを、フィルがひとりでアコースティック(アカペラだったかな?)で歌うというもの。あれ、なんとかして市販ビデオにならないものだろうか? そういえば、こっちに来てから見た雑誌の広告か何かで、新しいベスト盤「WILD ONE」にはビデオもあるようなことを見た気がするのだけれど。


つづく

1996 I INDEX I Tの目次へ I Vの目次へ I TOP PAGE