SHOH's LIVE REPORTS

Def Leppard Live in Birmingham (Nov 15,1996)


PART 4

"WORK IT OUT" "DELIVER ME" ときのうと同じ曲順で「SLANG」からの曲が披露される。最後のギターの音が余韻をもたせるように長く伸ばされて、そこに"HYSTERIA"のリフが……。このあたりはもう彼らの真骨頂という感じ。

きょうが最後だと思って、一生懸命みつめればみつめるほど、ステージの彼らは拡散し記憶のかなたに消えてしまいそうになる。ああ、ビデオカメラのように何度でも再生できる眼を持っていたなら、どんなにか幸せだろう。ジョーの動きのひとつひとつ、声やギターの1音1音、ドラムやベースが刻むリズム、すべてをすくいとって、胸のフィルムに焼きつけ、永久保存版にすることができたらなあ。

泣きそうになっているところに追い打ちをかけるように "WHEN LOVE & HATE COLLIDE"が始まってしまった。体の動きが自然に止まり、両手を祈るように組んで、ひたすらにステージをみつめる。そんな私の気持ちをなぐさめるように、やさしく歌うジョー。あ〜この瞬間を永遠につなぎとめることができるのなら、一生日本になんて帰らなくてもいいのに。

すっかり恋する乙女になってウルウルしていると、隣りの友人の声が耳に響いた。「ジョー、声出なくて苦しそうねえ。全部半音下げて歌ってなかったぁ? フェイクしまくり」え〜っ、私、全然気がつかなかった。

"SLANG" が終わると、「は〜っ」とちょっと疲れたようなため息をつくジョー。おいおいまだ中盤だぞ。

「のってるかい? 今度の曲は、君たちみたいに長年レパードファンでいてくれたみんなのためにやるよ。俺が『長年』と言うときには、はるか昔、正確に言うと1981年にまでさかのぼるのさ」

"BRINGIN' ON THE HEARTBREAK" "SWITCH 625" の流れもきのうと同じ。ジョーがリックを紹介したあとにアコースティックセットが組まれ、きょうはジョーがNIRVANAの"COME AS YOU ARE"をちょこっとだけ弾いた。日本公演と同じね。

「おっと間違えた。声の調子はどうだい? いい? じゃあ次は一緒に歌おうか? 用意はいいかい」

バーミンガムの客もよく歌う歌う。ジョーが「あいるび〜」まで歌って客席を見ると、すかさず「とぅーすてっぷすびは〜いん」と続ける。心得たものだ。こういうところで安心してファンに委ねられるっていうの、ミュージシャン側からすると、とっても気持ちのいいものなんだろうなあ。


つづく

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