Def Leppard Live in Birmingham (Nov 15,1996)
PART 2
やっとのことで開場。中に入った私たちがまっさきに向かったのはハンバーガーショップ。電子レンジで温めたチーズバーガーは普通だったらとても食べられた代物じゃなかったけど、飢えていた私たちは物も言わずにかぶりついた。
やっと人心地がついて自分たちが座っている状況を見回してみると、そこは1階アリーナなんだけど、PAのうしろのブロックで、しかも後ろから数えたほうが早い位置(下図★部分あたり)。床が平らだから、巨人のようなイギリス人たちが立ってしまったらステージなんてまったく見えないに違いない。
この会場、スタンディングのスペースもかなりすごいものがあって、前方のほんの5メートルくらいの空間だけが柵で囲われている。あんなところに入っちゃったら押しくらまんじゅうで死んでしまいそう。おまけにステージがかなり高い位置にあるから、見上げっぱなしで首が固まっちゃうんじゃないかしら。
「それにしても見えないよねえ」「これだったら豆粒みたいでもきのうの2階席のほうがよかったかも」
などと話していると、おそろいの白いパーカー(これがなかなかお洒落なんだ)を着たセキュリティのおじさん2人が近づいてきて「チケットを拝見」と言った。
アリーナに入るところでチケットチェックがあって、ちゃんと見せてきたのに随分厳重なんだなあと思いながらもチケットを見せると、「実は急にこのブロックに空席ができてしまったんだ。いちばん前の列も空いてるから、好きなところに座ってもいいよ」
え、え、え〜〜〜〜〜っ!
そんなおいしい話がこの世にあるものだろうか。
こんな幸運を逃す手はない。さっそくいちばん前の列まで行き見やすそうなところをチェックして、ステージのほぼ正面に当たるところに座った。PAの人が目の前に立たない限り、なんの障害物もなくステージが見られる位置だ。
ほかにも同じようにセキュリティから教えられた人たちがうれしそうに横に座り出した。見ていると全員に言ってるわけじゃなくて、背が低い人や女性だけのグループなどを優先してるみたい。私の隣りは中年のカップルで、ふたりともイギリス人にしては小柄だ。
それにしてもこういう融通の効かせ方ってとってもいいよね。日本だと前のほうの招待席が固まって空席になっていても、きちんとチケットを買った人たちはそのまま後ろのほうで見させられるのが当然みたいになってるけど、考えてみたらミュージシャン側から見たって、そんなの気分がよくないもの。
すっかり気分がハイになってしまった私たちは、ステージが始まるのをいまかいまかと待つのであった。