Def Leppard Live in Japan (June 18-22,1996)
PART 1
曲名入りの全体レポートです。6月19日日本武道館でのライブを下敷にその他の日についても随時入れこんで書いていますので、混乱しないようにお読みくださいませ。
客入れの最後の曲は今回もGUNS N' ROSES の"COMA"だった。前回のツアーではこの曲の最後の心臓の鼓動のような部分にリックの叩くドラムの音をかぶせるようなオープニングで、うまく使ってるな、という感じだったけれど、今回はそれほど凝ってはいない。どちらかというとバンド・スタッフ間での合図のようなものだったのではないかと想像していた。なにしろすごく長い曲だから、ある程度スタンバったところで、これを流し始めると、それぞれが自分の持ち場につく時間だという合図になるし、なにか不都合があっても、急いで修正する時間もとれる。客である私のほうも、2日目からはこの曲が始まると席について、心の準備を始めるようになった。
"COMA"が終わると客電がぱっと落ちる。一斉にあがる歓声。待ちに待ってたという気持ちがこの大きな歓声を聞けば一聴瞭然だ。そして聞こえてきたのはQUEEN の"WE WILL ROCK YOU"。いかにもイギリスのバンドらしい選曲だ。THUNDER も一時期、おなじみの"THUNDER STRUCK"の代わりにこの曲をオープニングに使っていたことがある。イギリスのバンドではないがBON JOVIもウェンブリーアリーナでのショウではこれがを使ってイギリスの観衆を熱狂させていた。
ここ日本だって、イギリスのファンになんて負けていられない。さっそくみんなの腕が上がり、ドンドンパッと手拍子が始まる。歌が始まれば大合唱だ。もういつでも出てらっしゃい、という気分が高まったところで、ギターが聞こえてきた。ドンドンパッのリズムに合わせるようなリフを刻んでいる。そして暗いステージに人影が現われ、一気に照明がついた。真っ白い光がまるでカメラのストロボをたいているようにはじけて点滅し、私たちの高ぶった気持ちとシンクロする。
1曲目は意表をついて"GIFT OF FLESH" だった。最初は驚いてしまったが、たたみかけるようなスピード感のある曲だから、確かにオープニングにはぴったりの曲だと思う。
歌の途中でジョーはステージ袖のほうに歩いていって、なにやら合図をした。多分1曲目で音のバランスとかモニターの具体などをチェックしてスタッフに指示することになっているのだろう。さすが仕切りのジョー。 歌が終わると左手を高く掲げて挨拶したジョーは、まだ演奏は続いているのだが後ろにさがり、ドラム台に置いてあったタオルで顔をふいた。そして、曲間をあけずにすぐ次の曲が始まる。何事かを予感させるようなわくわくするリフが始まる。"ANOTHER HIT AND RUN"だ! 客席からは大歓声。手拍子が始まる。赤と紫のバリライトが交錯し、「SLANG」 のジャケットを思わせるようなオリエンタルな雰囲気。サビの部分に来ると、当然のように客席に白いバリライトが当たる。そして拳をふりあげての大合唱。ヴィヴから始まってフィルへと代わっていくギターソロのところでは、ひときわ高い歓声が浴びせられた。ジョーはステージの床に座りこんでいる。ヴィヴは楽しくてしかたがないというふうに、ドラム台に腰かけて足を大きく広げ、ぶらぶらさせながら弾いたり、ステージに寝ころがって弾いたりしている。
後半、1本だけのスポットライトを浴びながら左手を前にさし出し、静かな調子でジョーが歌い上げたあと、一気に爆発するクライマックスへの展開はまさに圧巻だった。しかし、正直言うと、私の脳裏にはジョーが言った「今までライブでやったことのない曲をやるよ」の言葉が浮かんできて、「この曲は前回のツアーでもやってたよなあ。ひょっとしてジョー、ボケちゃったのでは(^^;)」 などという失礼な想像がよぎってもいたのである。
そしてヴィヴのギターで始まったのは、これまたノリノリの曲"ROCK! ROCK! TILL YOU DROP"。 うぅ、こう立て続けにやられたんじゃ体力がもたないよぉ。と思いながらも体は勝手に動き出し、出ない声で必死に歌い続ける。ヴィヴはフィルがギターソロを弾いてる間、ステージに膝をついて、そのままの態勢で動き回ったりしている。ジョーは元気がありあまってる様子で、ゴリラのように胸を叩いてみせたりしてる。
(補)18日には、床に膝をついてギターを弾くヴィヴの上を、フィルが足を開いてまたいでいった。そのあとフィルも膝をついて、ふたりでステージの上を膝で歩きながらギターを弾く変なバンド。今までの彼らのショーとまったく違うところは、ヘッドセットをやめ、4人がステージに並んで、スタンドマイクに向かって歌うこと。これはものすごくかっこいい。もちろん、今までみたいに動き回って歌うのもよかったんだけど、ラウンドステージが作れない日本では、いまひとつスケール感が感じられなかったし、どこを見ていいのか迷ってしまう場面がたくさんあった。その点、このパターンだと、メンバー全員を落ち着いてみることができるし、メンバーもきっちりコーラスがつけられる。それにスタンドマイクが固定されているからといって、みんながじっと立っているわけではなくて、コーラスの合間には好き勝手に動き回っているのは今までとまったく同じ。1粒で2度おいしいって感じだ。ジョーの投げキッスとともに曲が終わると、ようやく今夜初めてのMC。
「トーキョーッ! 元気かい? 俺たちは戻ってきたぜ! きのうもきてくれた人もいるのかな」はーい(^^)/゙「また来てくれてうれしいよ。次は「PYROMANIA」アルバムからの曲だ」