SHOH's LIVE REPORTS

Bon Jovi Final Live In Japan (May 18-20,1996)


PART 3

っかりノリノリ状態になった客席をさらにジョンが煽る。

「俺たちを喜ばせるのはかなりむずかしいぜ。みんな、俺たちを満足させるような大声が出せるかい?」

「いえ〜!」

「よ〜し、いくぜ。お〜いえ〜」

「お〜いえ〜」

ジョンが指を下げて不満足を表明する。ティコやデビッドやリッチーにも聞いて回るがみんな首を振って「まだまだだ」と渋い顔。

このあたりの演出はいつも同じなのに、どうしてこんなに楽しくて本気になっちゃうのかなあ。きっと、メンバーのほうがもっとうんざりしそうなとこなのに、それでも楽しそうにやってくれてるからよね。みんなに気に入ってもらえるようにと一生懸命声を張り上げる私たち。

そして、おなじみのロックンロール・ソング"I'LL SLEEP WHEN I'M DEAD" が始まると、ステージ後方でジュークボックス形の風船(?)がふくらみ始める。これって、前のプレスリー悪魔や鳥娘に比べると、みょうにちっちゃくて貧弱な感じがするけど、それでもきょうはがんばって一生懸命体(?)を揺すっていた。あれって、後ろでスタッフが押してるのかしら?

この曲では、きのうまで"BROWN SUGAR" が間にはさまっていた。並べて演奏されると気がつくんだけど、曲調が似てるのよね。で、今夜もそうだとばかり思っていたら、ジョンが「ダンスタイムだよ」って言って始まったこの曲は……あれ? リズムが違う? うわっ、大変! "JUMPIN' JACK FLASH"だ。まさか同じSTONESのこの曲で来るとは思わなかった。

初日に3時半ころからスタジアムの外で開場を待ってたんだけど、そのときにリハーサルの様子が聞こえて、"BROWN SUGAR" のほかに"YOU'VE REALLY GOT ME"と"ALL THE YOUNG DUDE"をやってたのね。だからてっきりライブでやるんだと思ってたんだけど、結局やったのは"BROWN SUGARだけ。あとの曲は指ならしだったのか。

とすると、きょうのリハーサルでは"JUMPIN' JACK FLASH"をやってたのだろうか? あと、曲名が思い出せないのだけれど聴いたことがある古い曲をちょこっとだけはさんで、おなじみの"BROWN SUGAR" に。ここでは客も慣れたもので、ジャンプしながら「ヒューッ!」って叫びまくる。

"KEEP THE FAITH"は、今回すごくヘヴィーな仕上がりになってた。一緒に行った友人のひとりが、「音が分厚くて気持ちい〜い」と騒いでいたけれど、この曲なんてほんと、とても5人だけでやってるなんて思えないくらい重くて激しかったと思う。マラカスを振るジョンの動きも狂ったかと思うほどすごくて、見ているだけで興奮してくる。

おまけにこの曲でのライティングが、いままでお目にかかったことがないくらい素晴らしかった。フレーズごとに青い海の底になったり、幻想的な赤になったり、かと思うとバリライトがギラギラに動き回ったり、ステージ横の壁に模様が描き出されたり、めまぐるしいくらいに色も動きも変わるんだけど、それが実に曲とぴったりで感動的。これは、あまり前のほうの席で見てるとよくわからない。ちょっと下がって、ステージ全体を見渡せる位置から見るのがいいみたいね。

ここで本編終了。きのうまでのセットリストをちゃんと覚えていないんだけど、かなり違ってたような気がする。このあと、どんなふうに続くのかしら?

と思っているうちに歓声が高くなり、ステージに人影が現われる。そして、聞こえてきたこの音は……え、うそ! デビッドの叩くように弾くキーボードの低い音、そして、むせび泣くようなリッチーのギター。前回来日では福岡でしかやってくれなくて、聴きたくて聴きたくて夢にまで見た"DRY COUNTY"。

ジョンは白い光る生地のシャツを前をはだけて着ている。ステージを右へ左へと歩きながら、指先にまで感情をこめて歌い上げる。映画を経験したことで、彼のステージでドラマチックに見せる才能がさらに開発されたみたい。ステージの端に来て、客席に訴えかけるように腕を差し出し、歌いきる彼の姿はまさにカリスマ。客席の私たちは、一瞬たりとも目が話せなくなっている。

そして、リッチーのギターソロ。今までこんなに美しくて、こんなに激しいギターソロを聴いたことがあったかしら? これでもかこれでもかとたたみかけるように連なる音が、聴いてるこちらの胸を苦しくしてしまう。そこに絶妙のキーボードが重なり、もう息ができないかと思ってしまった。

もう死んでもいいと思っちゃった。←ちょっと嘘(^^;)


つづく

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