綾 波 レ イ

  〜 エドガー・アラン・ポオ/アナベル・リィに寄せて 〜

 

 

 

 

もう昔のこと
海近くの王国に
綾波レイという名の少女がいた
そして
その少女と僕は永久(とわ)を誓い合っていた

海近くの王国で
まだ少年だった僕と 少女だった彼女
けれど
僕達は恋にもまさる恋で愛し合っていた
僕と 綾波レイは
空に舞う 熾天使でさえ
彼女と僕をうらやんでいたほどに

もう昔のこと
この海近くの王国で
雲から死の風が吹き降りて
綾波を冷たい骸にかえたのはそのせいだったのか
高貴な『もの』の腕が
少女を僕から奪いさった
この海近くの王国 その墓に入れるために

天上の幸せの及ばない天使達は
彼女と僕をうらやんで立ち去った
やっぱり そのせいだったのか
―この海近くの王国に知らない人はいなかったけれど―
月の夜半に死の風が吹き降りて
綾波を冷たい骸にかえてしまったのは

けれど
僕達の恋は 僕達より年上の人の恋より
僕達より賢い人の恋よりも
ずっとずっと強かった
天上の熾天使 海の底の悪魔にだって
決して 僕の魂を彼女から
綾波レイから引き離す事はできないだろう

蒼い月の夜半に浮かぶ
綾波の面影
星の輝く夕べ
僕を見つめる 綾波の瞳
ああ 愛する人 僕の恋人 
僕の命 僕の花嫁のそばで眠ろう
海近くの少女の墓を抱いて
海ぎわのその墓の上で

 

 

 

 

 

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00/01/22一部修正
00/01/30修正