Ⅰ. 赤い瞳のＤＯＬＬ
何よ、あんたなんて
ただの人形のくせに
自分では 何も望まないんでしょ？
独りでは 何もできないんでしょ？
自分の心なんて ないんでしょ？
誰かの意思でしか 動けないくせに
自由なんか ないくせに
人形なんだから
ガラスのケースの中に 突っ立ってれば？
ただ 座ってればいいのよ
飽きて捨てられるまで 大人しくしてりゃいいのよ
綺麗なだけの、人形なんだから
笑う必要なんて、ない
泣く必要なんて、ない
恋する必要なんて、ない
愛される必要なんて、ない
人形のくせに
Ⅱ. 少女と未来
「意外と主婦とか似合うんじゃない？」
考えたことなど 無かった
考える必要など 無かった
『主婦』
家庭において家事を切り盛りする人
『家庭』
結婚することによって出来る 新しい絆
『結婚』
愛し合う男女が将来を誓い合うこと
『恋』
人を 好きになること
学校を卒業して 就職をして
恋愛をして 結婚をして 子供を育てて
ごく 平凡な将来
誰もが 当たり前に描く 未来
私には 無いモノ
全部 知っているだけ
全て 知識
全て 観念
タイムスケジュールはもう決まっているの
全てが 始まる前から定められている
その 終焉の刻さえも
轢かれたレールの上を 走る
終わりに向かって
私に与えられた時間は １４年だけ
それ以上も それ以下も 許されない
未来 必要無いモノ
夢 必要無いモノ
私には いらないモノ
私には 与えられないモノ
だけど
あなたに出会って 動き出す
私の未来 私の時間
あなたと出会って 恋をして
結婚して 子供を育てて
おじいちゃんとおばあちゃんになって
ずっと ずっと 続いていく未来
進み始める 時計の針
終わらない 私の時間
でも それも もうおしまい
「コア、臨界点突破！！潰れます！！！」
「綾波ぃぃぃ！！！！」
あなたにもらった未来だから
あなたに 返すの
ほんとうは
あなたと一緒の未来 見たかったけれど
さよなら
私の 未来
私の 希望
碇くん
Ⅲ. 冷たい月
『君は僕と同じだね』
そう、同じかもしれない
酷い人ね、あなた
彼を裏切って
あなたのこと、好意をもっていたのに
あなたとの絆を、大事に思っていたのに
彼を裏切ったのね
冷たい人
『君は冷たいね。僕と同じに』
裏切ったの あの人のこと
私のこと、守ってくれたのに
私との絆を、唯一持っていた人なのに
あの人を裏切ったの 彼のために
『あの人のために死ぬはずだったのにね』
『果たすべき役目があったのにね』
『そのために生まれてきたのにね』
裏切ったの 捨てたの 全部
彼のために
あの人を裏切ったのね
冷たい、私
たくさんの、時間
たくさんの、想い
たくさんの、絆
『全部、捨て去ったのかい？彼のために』
『ただ一人の、男のために』
『冷たいね、君は』
冷たい月
私の中に 浮かぶ月
全てを捨てても 構わない
全てを失っても 構わない
冷たい月
孤高に輝く 蒼白の光
『冷たいね、君は』
そうよ、冷たいわ 私
Ⅳ. ほんとうの、君へ
僕の前に現れた君
僕の前から消えた君
君は、本当は何だったんだい？
あまりにも
あまりにも儚くて
あまりにも鮮烈で
あまりにも朧気で
でも、きっと
僕の知っている君
ほんとうの君
それは
１４歳の、ただの女の子
チルドレンではない
人形ではない
作られた魂ではない
リリスではない
蒼き髪、赤き瞳ではない
ほんとうの君は
僕の好きな君は
綾波 レイ
ただの、女の子
ほんとうの君へ
好きだった君へ
僕は、君を思い出さない
だって、思い出すってことは
忘れていたってことだろう？
だから、僕は思い出さない
決して
決して
Please Mail to Ms 恋歌
and Visit HP 「人工しんかい研究所」
今回、管理人は
何も言えない、言いたくないっす。（；；）
でも、
どツボを突かれたような気がする。
1999/03/16 公開