「安さんの 世の中の見方」 (些論 ver1.2)

今の日本は 多くの問題を抱えている。一見行き詰まり膠着してしまっているように見える。も

のごとには 両面があって、「窮すれば 通ず」と言い「窮すれば 濫(ラン)する」とも言う。

 

 本当は、「易は窮(キワ)まれば変じ、変ずれば 通じ、通ずれば 久し(易経 繋辞下伝)」

あり、「子曰く、君子固(モト)より窮す、小人窮すればここに濫(ミダ)る(論語 衛霊公第十五)」

なのだが、とにかく濫れ切っている現在の日本での生き残りには、「変わる必要がある」し「先

に変わった者から、生き残れる確率が高くなる」のである。

 

 戦後50年の日本は多くの危機や困難を克服してきた。貿易の自由化や資本の自由化など

もあった。オイルショックを省エネ革命で凌ぎ、貿易摩擦や円高問題も 弥縫策ながらそのつど

乗り越えてきた。

 

 しかもなお現在の日本は、年間収入の8倍の 財政赤字を抱え、高齢・少子化が進み労働

力や介護の問題のほか、年金制度の破綻や産業・民生の廃棄物処理のコスト化も いよいよ時

間の問題になった。

 

 貿易黒字は低減せざるをえず、企業の海外進出も生産供給の過剰を助長するほか、日本

国内の景気上昇の足を引っ張る原因になり、バブルの崩壊以降は担保主義では経営資金が

動かせない問題も出てきている。

 

 だがこれらの現在の日本の問題はすべて、現在の量産態勢をベースに 「制産(非量産志

向の生産)部分の生産性を向上し、その創造付加価値を再配分」すれば解決する問題で

ある。《1.1へもどる》

 

 2000年代の始めに現実化する人口に対応した、政官の人数削減目標も出せないような行

革ではあまり当てにはならないが、民間主導の革新運動ならば多少当てにできるだろう。

 

 人数当たりの稼ぎが大きくなれば、財政赤字も年金の破綻も解消の方向に向かう。働きたい

のに定年で職のない年寄りには、仕事か年金の繰り下げかを選ばせれば、少しは労働力の

足しになるはずだし、年寄りのめんどうは病人のほかは、有料で 年寄りに看てもらうのがいい。

 

 なんたって 現在の日本は、製造業の付加価値を GNP(国民総生産)の1/4以下に低下させる

ことができたのだ。極言すれば、工場に入る素材の価値と最終消費者が使う価値の差の3/4

を、製造業外の業種で分け合っており、政官などはその両方からハシケた金で食っていること

になる。《7.1へもどる》 《末説14にもどる》

 

 したがって重要なのは 「その付加価値を革新(連続的不連続造り)的な製(商)品やサー

ビスで創造すること」と、「創造付加価値の再配分の 考え方と方法」である。

 

 なお生産性向上による対策のほかに、企業の海外進出と国内の景気の問題や、貿易収支

によるトラブルをいかにヘッジするかなどの問題があるが、これは 別に述べたい。少なくともこ

の対策で、資金調達における担保主義などは、生産性評価や収益信頼性基準に 置き換える

ことが可能になるはずである。                          《つぎへ》《もどる》

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