ガゥンッ
乾いた夜空に銃声が響いた。
一発目の音が消える前に、もう二、三発音が響いた。
銃と子供とシャワー
「ただいまぁ〜。」
能天気な声が聞こえて、ドアが開いた。
ソファに座って本を読んでいた南が顔を上げた。
「遅かっ・・・、なんだよ、その格好。」
その格好とは
能天気な声の持ち主千石の格好のことだった。
確か出て行ったとき、朝は、黒い細身のジーンズに白い半そでのパーカーだったはずだ。
しかし、今は黒いジーンズは茶色のようになり、パーカーは真っ赤に染まっている。
「ん?あぁ、これね。」
「お前怪我は?怪我はないのか?」
南は本を乱暴に置いて千石の体を触った。
「んー?大丈夫だよ。これ全部返り血だし。怪我って言ったら、ココと」
そう言って頬を指差した。
確かにそこには赫い血の線があった。
「あと、ここだけだし。」
そう言って、南に手のひらを見せて、
その後、それを口元にもっていきぺろっと舐めて見せた。
「どうして、お前そんな殺り方したんだ?」
「ん?」
「いつものお前なら、返り血なんて浴びないだろ?」
そう、いつもなら千石は急所に一発弾を打ち込んでおしまい。
痛みを感じる暇もなく、死んでいくターゲット。
「ん?だってさ。」
「・・・?」
「むかついたんだよ。今回の奴。」
「むかついた?」
「そう。」
「きゃぁ!!」
「大人しくしてた方がいいよ。」
「うわぁ、や、やめろっっ!寄るな!」
「大丈夫痛くないから。」
「うえーん、怖いよぉ。」
今回のターゲットはダニエル夫妻。
ある裁判の重要参考人らしい。
ダニエル夫妻と子供は、部屋の片隅で助けをこうている。
千石はシルバーの愛銃ブラストを構えた。
引き金に指をかけた、その時
どんっ
「うわぁ!」
奥さんの方が子供を千石の方に突き飛ばした。
千石が子供に気を取られている、隙に今度は旦那の方が
千石に発砲した。
バンッ
ピシュッ
弾丸が頬を掠めた。
「何やってんの?」
「ひぃっあなた!ちゃんと殺してよ!」
「う、うるさい!」
突き飛ばされた子供は転んだまま起きない。
「ねぇ?あんた達が自分らの手で子供殺したら、あんたらの命助けてあげるって言ったらどうする?」
子供を指差していった。
すると、夫妻は子供に銃を向けた。
「・・・・カワイソウにね。」
ガウン ガゥン ガゥン
「すごかったよ。頭ぽぉーんて飛んで、お腹ん中飛び散ってた。
卵リゾットにケチャップいっぱいかけたみたいだった。」
「千石。あんまり感情的になるな。」
「感情的になんかなってないよ、なんとなくだし。」
さらっと言った。
「じゃあ、俺シャワー浴びてくるから。」
「・・・・・。」
なんとなくむかついたんだ。
子供を殺してまで
助かろうとしたやつらに
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アトガキ
えっと、補説です。南ちゃんとキヨはコンビ組んでて
一人でも平気そうな暗殺はだいたいキヨ一人でやります。
南ちゃん的にはキヨにあんまりやらせたくないみたいだけど