浜益地域の維管束植物

 

福地郁子・五十嵐 博・金上由紀・桂田泰恵・
笈田一子・高橋美智子・与那覇モト子

 

はじめに

 私たちは、1985年から、故原松次先生による札幌近郊の植物調査にほとんどご一緒させていただき、植物に関して多くを教えていただいた。1992年、原松次編著「札幌の植物」(北大図書刊行会)が刊行された時には、協力できた嬉しさがいっぱいであった。その後の原先生は、日本海側・浜益地域に重点を置いた調査を始められていたが、急激に衰えられたまま、1995年11月4日に永眠された。

 その後の私たちは、原先生が説明された植物を思い出しながら、浜益地域の調査を続けてきた。分類困難な種類については、北海学園大学の佐藤謙氏の協力を得て、同氏と一緒の採集許可証による標本の採集と同定を続けてきた。私たちは、この浜益地域の維管束植物目録をまとめ、本誌に報告することによって、故原松次先生へ深い謝意を表したいと考えている。
 この報告は、A,B,C順で列記した7人の共同作業の結果である。その構成は、(1)維管束植物目録と(2)分布表からなるが、「札幌の植物」のまとめに倣った。

 まず、(1)維管束植物目録における科と種の配列は、環境庁(1987)の配列順序に従った。しかし、学名は、環境庁(1987)によらず、『日本の野生植物』(平凡社)に基づき、シダ植物の学名についてはさらに『新日本植物誌シダ編』(至文堂)を併用して、それらの学名を使用した。また帰化植物の学名は、環境庁に記されていないので、長田武正(1972、1976)を参考にして、新たなコードナンバーをつけて挿入した。したがって、目録において環境庁による配列順序と学名のA,B,C順が一致しない場合が生じている。維管束植物目録では、個々の種に関する和名と学名以外の情報を、以下の略号・記号を使用して列記した。

地図

 

  1. 種名番号:まず、種の配列順に通し番号をつけた(1.〜747.)。これは、維管束植物目録と分布表を対応させるためである。
  2. [5桁の数字]:和名の次に、環境庁(1987)における植物種のコードナンバーを付けた。帰化植物については、新たなコードナンバーを付けた。
  3. (No.96-001):採集した証拠標本がある場合は、学名の後に標本番号を付記した。それらの標本は、北海道大学農学部標本庫(SAPT)に所蔵している。
  4. *:環境庁(1976)が指定した「貴重植物」
  5. RDB-89:日本自然保護協会・世界自然保護基金日本委員会(1989)によってリストアップされた絶滅危惧種、危急種などを示す。
  6. RDB-97:環境庁(1997)が新聞報道によって発表した、レッドリストに記載された種を示す。
  7. +: 自生種ではない帰化植物と栽培植物(逸出種を含む)を示す。

 次に、(2)分布表においては、分布確認地として図示したように15ヶ所が挙げられている。分布表では、これらの確認地が調査地域の中で北から南に並ぶように配列してある。


 

      ページの最初に戻る 次のページ

ボタニカ15号

北海道植物友の会