川湯に着いたときは、まだ午後を少し過ぎたぐらいの時間だったと記憶しています。冬でしたが、列車の中は暖かく半分ウトウトしているような気持ちの良さで列車に揺られていました。
私の座っていた座席の反対側には国鉄(当時はまだJRじゃなかった)の職員が3人ほど腰掛けて雑談をしていました。
さて列車が川湯温泉に到着して、乗客が一斉に降りだしたので慌てて私も降りたことは本文でも書きました。
実はその時、カメラを座席に忘れてしまったのです。
その時、改札口まで行くのに列車の前を横切って線路を渡ろうとすると「お〜い」と大きな声。
見ると先ほど隣に座っていた職員さんの一人がカメラを高く抱え上げて、私の方に向かって手を振っているのです。
慌てて戻って受け取ろうとしたら、その人もわざわざ私の方に歩いて来て手渡ししてくれたのです。その間おそらくは出発時間は過ぎていたのでしょうが、列車も止まって待っていてくれました。
見て見ぬ振りが当たり前のようになってしまった昨今、なんだかそんな些細な出来事(って、発端を作ったのは私なんだけど)が思い出されてしまいます。