音作りのファッション・ショー/スーパーモデル

1997.09.27

 96年10月発売のファースト・アルバム『スーパーモデル』。全12曲、実質は10曲ですが、正直言って何度聴いても飽きません! 次々にかかる曲また曲は、みんな個性豊かです。音の宝石箱、ビックリ箱、おもちゃ箱、そんな感じです。しかし・・・、一点違和感を覚えるとすれば、アルバムとしては、あまりに多彩過ぎることです。

 ただ一枚のアルバムのために、あれほどの音作りが必要でしょうか? 発売済みの全シングルを含めた上に、バラードあり、セリフあり、カバーあり、Mixあり。そしてリプライズでは「ハンバーグって、栄養ある〜!?」(笑)。レインボー・ララ・ルーの間奏では、寺内タケシを彷彿とさせるようなギタープレイ。シングルと編曲を変えた、忘れちゃうモンのMixバージョン。チャタレイ夫人のバラード、大昔の曲をカバーした、クレクレタコラ。

 ともすれば、アルバムとしての統一感を損なうギリギリまで、多彩な表現を取ったのはなぜでしょう。歌も演奏もアレンジも、あんな見事な、あんな多彩な・・・。あの石野氏が、こうまでして色々な色を押し込んだのには、ある意図があったのではないでしょうか。

 一音一拍すべての音が、しのらへのおきみやげ。どの音をどう歌い、どんなリズムでどう奏で、どんな種類のアレンジがあるか。音作りのテクニックを、しのらの目前にあらわして見せたのではないでしょうか。プロデューサーとしての評価、満足度を犠牲にして、愛弟子に見せるために、教えるために。

 そうしてみると『スーパーモデル』というタイトルにも、意味があると思うのは、考えすぎでしょうか。モデルの活躍の場は、ファッションショーのステージです。百花繚乱、よりどりみどりの衣装を、次々と身にまとい演じます。
 将来、本当に身につけたい衣装を、彼女がその中から選べるように。ともえちゃんのために、多彩なメニューをとり揃えたアルバム。石野氏とスタッフの愛にあふれたアルバム『スーパーモデル』。そんな気がします。

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