プロデューサー/篠原ともえ

1997.09.06

 1997年8月1日、シングルCD「まるもうけ」発売。彼女のこの5枚目のシングルは、彼女自身によりプロデュースされています。弱冠18歳の少女が、ヒットチャートにも登場する楽曲をプロデュースする・・・。これは、なかなかに凄いことです。

 もちろん、スタッフの強力なバックアップはあるでしょう。しかし、いかに素晴らしいサポートスタッフがついていても、プロデューサーであることは間違いありません。歌詞も、ファッションも、彼女のきらめく頭脳から生まれているのです。「まるもうけ」の裏面にある「Producedby篠原ともえ」の文字は、決して軽くありません。歌手であることと、プロデューサーであることは、まったくの別物なんです。

 歌手は、ステージ、スタジオ、など与えられた場で、「表現」し「伝達」することが仕事です。対してプロデューサーは、歌手という素材を生かして、「創造」という作業をしなければなりません。楽曲を作成するスタッフを、ひとつのプロジェクトチームと考えれば、プロデューサーはプロジェクト・リーダーです。スタイリスト、作詞家、作曲家、バックミュージシャンといったメンバーと並んで、歌手はチーム員の一人にすぎません。

 今回、プロデューサーとして彼女はバンド形式を採用し、しのランドPUNKを結成しています。これは、篠原ともえとノイズファクトリーのユニットです。雑誌の記事等を読むと、ユニットとしてのカラーを打ち出すために、相当のパワーを掛けたことがうかがえます。先日のロンドン行でも、ほとんどユニットのための服を買うためだけに、行ったんじゃないか(笑)と思える程です。

 「とりあえず、どんどんアイデアが果てしなく出てくるんですよ。」(月刊カドカワ9月号)という彼女の言葉は、まさにプロデューサーにとって必要不可欠な資質を、彼女が有している証明でもあります。はたから見ていても、今の彼女の頭脳には、常にブクブクとアイデアが、沸き上がっているのを感じます。

 周囲からも、クリエーターとしての評価は高いです。「彼女は自分の見せ方−(中略)−を、積極かつ敏捷に考えられる女の子だった。」(SWITCH SPECIAL ISSUE SUMMER 1997より、増淵俊之氏)。また、だからこそ新曲のプロデューサーとして抜擢(?)されたのでしょう。なにせ、本人も知らない間に「いつのまにか決まってた」(月刊カドカワ9月号)らしいですから(笑)。

 こうして考えると「まるもうけ」のCDは、また違った意味で、色々とファンを楽しませてくれます。ここは、彼女のアイデアだろうか?これは、どんな狙いでこうしたのだろうか?そんなことを考えながら、CDを聴き、眺めるのもなかなか楽しみじゃありませんか。

 「まるもうけ/しのランドPUNK」をプロデュースしている、プロデューサー「篠原ともえ」が、明らかにそこに存在するのです。

メルヘン・プロフィール


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