「FACTORY」 収録ライブ・レポート

1998年7月25日(土)(1998年8月12日放映)

於:フジテレビ(お台場)

 今年の夏のライブは、みんな場所が遠かったので諦めていたところ、TV収録の情報がっ! 久々のライブ参加のチャンス! しかも番組は、上から下まで音楽一色の、音楽番組「FACTORY」。バラエティー色のかけらも無い、この番組なら、アーティスト「篠原ともえ」に出会える期待充分です!

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 フジテレビ前に13:00集合。例によって、なが〜い待機の時間(^^;。ま、TV収録ってのは、どこでもこういうモノみたいですね。それだけに、控え室はファン同士の交流のいい機会になります。

 ただ、いつもと違ったのは「シノラー禁止例」(^^;が出たことです。しのたこ等の小物はもちろん、ブレスレット等のアクセサリー類も、派手なものは禁止。シノラーファッションの女の子達は、着替えるように言われていました。そう! ニューアルバムのコンセプトに合った、会場の雰囲気を出すためです。ここからも『MEGAPHONE SPEAKS』が、これまでの「シノラー」からの脱皮を目指した物であることが、うかがえます。

 そして、収録曲はアルバムを中心に行われるとのこと。期待していた『anything』が、聴ける可能性大です。ラジオで流れたこの曲は、既に私のお気に入りになっていました。もう何十回も聴きましたが、素晴らしい曲です。ぜひ、シングルカットして欲しいですね。リミックスだとなお嬉しい(笑)。
 この時私は、既に『anything』をほとんど暗譜で歌えるくらいになっていました。そしてそのおかげで、後で楽しい驚きを味わうことができました。乞う、ご期待!

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 長い待ち時間のあと、ようやく収録室入り。でも、ここからがまた長かった(^^;。

 ショコラさんのオープニングライブ。語り口の幼さと、歌の熱さのギャップが印象的でした。そして、RIZCOさんと続きます。モデルそこのけのスタイルの凄さに、会場の女の子達から羨望とも感動ともつかない、タメイキがあがっていました。歌は上手いと思ったけど、感受性の落ちたオジサン(笑)には、何を伝えたいのかよくわからなかった。
 PETTY BOOKAは、正直言ってチョット引き(^^;ました。

 アーティストが変われば、当然ステージのセッティングも入れ替え。その間ずっと立ったまま待機。間にはさまる、ピチカートファイブ小西さんの、チョットとぼけたMCは楽しめました。そして、ようやく、ようやく、よ〜う〜や〜く(笑)。「お待たせしました、篠原ともえさんです。」小西さんの紹介で、バンドメンバー、そしてともえちゃんが登場!

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 落ち着いたエンジ色のブラウスに、黒っぽいチェックのスカート。すそに紐が通っている所に、まだスカートへの抵抗があるのかも(笑)。ヘアスタイルは、2本の細長いお団子。力みの無い、とっても自然な感じのスタイルです。それもそのはず、「今日は、アーティスト篠原ということで、私服ですぅ」とのこと。
 自分では、「セクシーシノハラ」とか言ってましたが、全然そんな感じではなく(笑)、むしろ清楚と言っていいでしょう。

 メンバーは、しのコーンから引き続きの、ギタリスト兼バンマス、テッシーこと手島いさむさんに、ドラムスの熊丸さん。新メンバーが、ベース、キーボード、そしてコーラスです。実は、そのコーラスの女性は、先ほどのボーカリストRIZCOさん。会場のみんなは、どのくらいの人が気づいたかな?

 「今日は、新しいシノハラをお見せしますということで、新曲を一杯歌います。でも、新曲を大勢の人の前で歌うのは、まだ2回目(明(めい)注:19日の妙高高原のライブが1回目)なので、ドキドキしてます。それじゃ、歌詞を忘れないうちにっ!(笑) 『anything』!」。

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 というような、MCもそこそこに、1曲目!やったぁ『anything』だ!と喜んだのもつかの間、思いっきり歌詞が違うぅっ(笑)! ともえちゃんの、ライブに一度(?)の歌詞間違いは、お約束(^^;に近いものがあります。それにしても、今回のは超ド級クラス(笑)。しかも、幻の歌詞とも言える、実際には存在しない、興味深い歌詞が出てきました。

CD ライブ(^^; 解説(笑)
ちょっとだけきびしくても
ギュッとやせがまん
夢をかなえるために

ドキドキいつでもどこでも
ずっと笑えたら
明日キラリ光る

ロマンチックになるのは
女の子だもんあたりまえ だけど

ちょっとだけきびしくても
ギュッとやせがまん
夢をかなえるために

いつでもドキドキワクワク
ずっと止まらない
そんな
恋をしよう

いつものように笑えば
みんな安心してるけど 本当は



ここまでは1番の歌詞

ここで既に2番の歌詞!
そしてっ!
幻の歌詞がっ!ちなみに2番は
そんな夢を見よう”が正解

以下、ずっと2番の歌詞(^^;

 さすがに、間奏のところで「♪キュッと苦笑い」(2番の歌詞(笑))していました。が、開き直って、結局ほとんど丸々2番を2回歌うことに。歌い終わってさっそく、「まぁ〜、シノハラ2番を2回歌ってしまいました!!どうしましょう。これってテレビに流れますよねぇ。」。ホントに、どうするのでしょう…(^^;。

 個人的な推測ですが、幻の歌詞(^^;「そんな恋をしよう」は、歌詞を考える過程で、候補にあった歌詞じゃないでしょうか。だからこそ、つい口をついて出てしまった。そんな気がします。もちろん『anything』は、ともえちゃんの作詞・作曲。こんなところにも、チョッピリ彼女の心の中を、垣間見たような気がしませんか?

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 2曲目は、『ハロー・スティーヴン』。ご存知、エアロスミスのボーカリスト、スティーヴン・タイラーさんとの出会いと別れを歌った曲です。想像以上に、…と言うより、まさに予想を裏切る(?)、素晴らしい曲です。彼女は、こんなにもスティーヴンとの出会いに、色々なことを感じていたんですね。

 私は、アルバムの中では、どちらかというと、軽いタッチのインターバル的な曲かと思っていました。衝撃的なまでに、全然違いました! 熱い思いのこもった、力の入った曲です。特に、最後の方の歌詞には、ジンとくるものがあります。いつか、きっと、もう一度、スティーヴンに会えるといいですね。

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 3曲目、『one peace』。「洋服のワンピースと、ひとつの平和って言う意味のワンピースを掛けたんですが、誰も気が付いてくれないんで、自分で言っちゃいます。」(笑)という解説つきでした。4曲目、『MUSIC』。音楽で、世界平和を?とか、革命を起こす?とか、T.M.R.(笑)のようなことを話していたような気がします。スミマセン、ちょっと覚えていません。

 このあたりの何曲かは、自らも(エレキ)ギターそしてハーモニカも使っての演奏でした。どちらも、段違いに上達していました。昨年の学園祭などで聴いた時とは、雲泥の差です。ギターを引く手にも、自信が感じられるほどでした。ビートルーズでの経験は、(左ベースでしたが)こうした上達ぶりに無縁ではないでしょうね。

 5曲目は、進行役の小西さんプロデュースの曲『メトロの娘』。小西さんのライブ前のMCで、ボツになった曲のタイトルの話しがありました。『うっふんシノラー』(笑)だかなんだか、そんなタイトルらしかったです(後日、放映で『ボンジュール・シノラムール』と判明(^^;。直訳すると『こんにちは、しのらの恋』かな?)
 本人が恥かしくて歌えずに、1年間お蔵入りしていたというこの曲は、爽快感というか、透明感を感じさせてくれます。軽妙なタッチと、情景が目に浮かぶような歌詞。多感な少女の等身大の姿が、この曲から感じられました。こんど、ピチカートファイブのCDを買ってみようかな、と思いました(笑)。

 「いよいよ最後の曲…、でもまだ皆さん盛り上がれますかぁ!?。シノハラの曲、聴きたいですかぁ? フォッフォッフォッ…? アンコール、お願いしますねぇ。(笑)」という、変な前振りつきで、最後の(?)6曲目『LOVEBANG』。これは、タイトルの語感通り、パワフルな曲でした。でも、なんかすごく短く感じました。ワン・コーラスだけだったのかも?(後で、放送を見たら、間にメンバー紹介が入っていたんですね(^^;)

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 そして、「皆さん、まだまだ聴きたいですよねぇ。『anything』も、もしかしたら撮り直し…。あっ、小西さん、怒ってないですよねっ!OK?…OKですねぇ〜。」と言うような具合に、再度アンコールを強要(笑)というか、おねだりしつつ、いったん退場(^^;。

 会場のみんなも心得たもので、さっそく「アンコール!」の声と拍手(笑)。ほどなく再登場!これまでの最短時間じゃないかと思いました(笑)。「しかたありませんねぇ。皆さんがそれほどまでに、聴きたい!と言うのでしたら(笑)。」でも、「しっかり歌詞をチェックしてきました。」と、しっかり舞台裏も開陳してくれます(笑)。

 そして、アンコール曲は、「ライブで、シングル曲を一曲もやらないと言うのも、淋しいということで…。でも、この格好(スカート)で、♪ま〜るもうけ(といいつつ足を振り上げる(^^;)というのもなんですから、ココロノウサギを歌います。」場内、拍手と歓声!

 でも、流れ出したイントロは!? これまでの『ココロノウサギ』とは、全然違った雰囲気です。何と言ったらいいか…、もっとムーディーで、もっとより切なそう。ちょっと『カロゴンズのラヴソング』のようなボサノバっぽい感じです。全然違った曲として、聴いた方がいいと思います。

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 そして、本当に最後の曲。『anything』を撮り直しです! 一番聴きたかった曲が2回聴けるなんて、とても幸運でした。「そうそう、1曲めだから、バレないように汗を拭いて…。」といいつつ、振り向いた背中には、ギターのベルトでついた汗のラインがクッキリ(^^;。編集の人が苦労しそう(笑)。

 とにかくっ、2回目の『anything』! いいできだったと思います。声域も合っているし、何と言っても「自分の言葉、自分の音」で、自分を表現していることで、歌を通して伝わってくるものが飛躍的に広がった感じです。
 ※後日注:「声域も合っている」…と、当時は思っていたのですが、どうやら『anything』はかなり高い音域を使っている、と言う話を聞きました。う〜む、歌手としてのテクニックが向上したのでしょう。嬉しい勘違いです。

 もっと聴きたい、と思う時間はすぐに過ぎてしまいます。あっという間に、最後の音がスタジオの中に消えていきました。最後はお得意の、メンバーみんなで手をつないでのご挨拶と、ウェーブ(笑)で退場でした。

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☆ お・ま・け(『MEGAPHONE SPEAKS』考)

 歌詞の間違いはありましたが、やはり『anything』はいい曲です。「思い」がこもっている感じがします。そして、その感じは、このライブを聴いて、アルバム全体に共通するものだと思うようになりました。

 『スーパーモデル』では、石野卓球さんを始め、色々なミュージシャンの方が、彼女の色々な可能性を、ショーのように目の前に繰り広げてくれました。『MEGAPHONE SPEAKS』にも、やはり多くのミュージシャンが参加しています。しかし、大きな違いは、彼女が自分の言葉で、自分自身の姿を語っている。そんな気がしました。

 華やかに飾ったショーではないけれども、しっかりと地に足のついた、等身大の自分。それを、力を込めた大きな声で、一杯に表現している。そんなアルバムじゃないでしょうか。

 少なくとも私には、ともえちゃんの新しく素晴らしい引き出しが、大きく開いたと感じました。

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 拙い文を長々とお読み頂き、ありがとうございました。

 篠原ともえちゃんの、魅力の一端でも、伝える事ができたならば幸いです。

by. 明(めい)こと 田原 美郷

1998年 7月27日
改訂:1998年10月25日

メガホン・ライブレポート


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