6章 sqrt(24n+1)=素数?


初項1、項差24の等差数列 an=24n+1(n=0、1、2、……)について考えてみる。

1、25、49、73、97、121、145、169、193、217、……

Excel でこのような等差数列をセルに入れるときは、

編集(E)―フィル(I)―連続データの作成(S)

を使う。

まず、A1にタイトルとして「24n+1」を入れる。
次に、A2に1を入れて、A2からA12ぐらいまで、マウスの左ボタンを押したまま引っ張る。
そして、編集(E)―フィル(I)―連続データの作成(S)、を選ぶと、
増分(S)を指定するところがあるので、そこに24を入れると、
初項1、項差24の等差数列が生成される。
nの値も知りたいので、B1にn、B2に計算式 =(A2-1)/24 を入れて、B3からB12までコピーする。

結果は以下のようになる。

  A  B 
124n+1n
210
3251
4492
5733
6974
71215
81456
91697
101938
112179
1224110

A列を見ると2乗数が多く含まれているのが、目に付く。

A列の平方根をとってみよう。
C1をタイトルとしてpとし、C2に計算式 =SQRT(A2) として、C3からC12までコピーする。

結果は、以下のとおり。

  A  B  C 
124n+1np
2101
32515
44927
57338.544004
69749.848858
7121511
8145612.04159
9169713
10193813.89244
11217914.73092
122411015.52417

1を除き、整数値になるときは必ず素数になっている
では、このまま続けていくと、5以上の素数が全て現れるのか?


計算式をひたすらコピーして、整数になるものを捜してもよいが、ここは、マクロを組んでみる。
挿入(I)――マクロ(M)――モジュール(M) を選ぶとマクロ作成用のシートが挿入される。
そこに、以下のマクロを入力する。

Sub Record1()
    Worksheets("Sheet1").Activate

    Cells(1, 1).Value = "24n+1"
    Cells(1, 2).Value = "n"
    Cells(1, 3).Value = "p"

    i = 1
    For n = 0 To 50
        m = 24 * n + 1
        p = Int(Sqr(m))
        If m - p ^ 2 > 0 Then GoTo L1
        i = i + 1
        If i > 11 Then GoTo L2

        Cells(i, 1).Value = m
        Cells(i, 2).Value = n
        Cells(i, 3).Value = p
L1:
    Next n
L2:
End Sub

nはどのぐらいまで調べればいいかわからないが、適当に設定しておき、
10個見つかったところで打ち切るようにする。

最初の10個の整数値は以下のとおり。

  A  B  C 
124n+1np
2101
32515
44927
5121511
6169713
72891217
83611519
95292223
106252625
118413529

素数でない数(25)もあるが、とりあえず、5以上の素数はもれなく出現しているようである。
さらに続けていった場合も、5以上の全ての素数が現れるのか?
答えは、yesである。それは、以下のように証明できる。

5以上の素数は 6n±1 の形で表すことができる。
2乗すると 36n2±12n+1=12n(3n±1)+1 。
n(3n±1) は、nが奇数、偶数いずれの場合も2の倍数となるから、
素数の2乗−1は、必ず24で割り切れる。
上の等差数列は、その構成方法より、24で割って1余るような数を全て含んでいるから、
ルートをとったとき、5以上の素数を全て含むことになる。
(証明終わり)


B列を眺めていると、以下のようなことに気付く。

これは、以下のように証明できる。

mod 5 で考える。
n=5k+a、a=0、1、2、3、4のとき、24n+1=120k+24a+1。
aのそれぞれの値に対する 24n+1の1の位の値は、下表のとおり。

 a 24n+1の1の位
01
15
29
33
47

よって、n=5k+3、4のときは、24n+1は2乗数には成り得ず(こちらを参照のこと)
また、n=5k+1のときは、5で割り切れることがわかる。
(証明終わり)


ここまでの議論を予備知識として、 こちら( 実験数学概論(大阪大、山本芳彦教授の講義録)
を眺めて見て欲しい。

もっとすごい世界が展開されている。


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三島 久典