「うつ病」の治療 -3-

 その他の治療法として以下のようなものがあります。

【精神療法(心理療法)】
 医師やカウンセラーと、患者の間に生まれるコミュニケーションを通して心の変調を改善していくのが精神療法です。主なものに「認知療法」があります。
● 認知療法
 アメリカの精神科医・アーロン・T・ベックが1970年代に確立した精神療法です。本来は「うつ病」の治療法として始められましたが、現在では「薬物依存」、「摂食障害」、「パニック障害」などにも応用されています。
 うつ病の背景にはものごとの受け止め方(認知)にゆがみがあり、そのゆがみを発見し、修正することによって「うつ病」を改善しようというのが、認知療法の基本的な考え方です。
 「うつ病」の患者に見られる認知のゆがみにはいくつかの特徴があります。

■認知のゆがみのパターン
恣意的推論はっきりとした証拠がないのに、あるものごとに対して「こうだ」と思い込み。独断で判断してしまうケースをさします。
二分割思考どんなものごとに対しても「どちらでもない」というあいまいな状態を認められず、白黒や正否をはっきりさせておかないと気がすまないケースです。
選択的抽出自分が関心のある情報だけに目を向け、結論を先走ります。些細な身体の不調にこだわり、「重病ではないか」と心配するといった状態です。
拡大視と縮小視自分の関心事を拡大解釈し、考えに合わないことは過小評価する傾向をさします。自分の長所を認めず、欠点や失敗ばかりに目がいってしまいます。
極端な一般化たったひとつの事実を取り上げて、すべて同じだと結論づけます。一度失敗しただけで、「なにをしてもうまくいかない」と決めつけるような状態です。
自己関連づけ自分のミスを重くとらえ、罪悪感におそわれて自身を追いつめてしまいます。「試合に負けたのは私のせいだ」と自分を責めるといったケースです。
情緒的な理由づけ自分の感情を判断の基準にしてしまう状態をさします。たとえば、ある課題に直面したとき、その詳しい内容を知らされずに不安を覚えると、「内容がわからないから不安なのだ」とは思わず、「こんなに不安なのだから、難しい課題に違いない」と感情にもとづく先入観をもってしまいます。
[うつ病]これで安心 こころのかぜの治療法、予防法/監修・濱田秀伯/小学館より

 うつ病の人の場合、上記の表のような考え方のパターンに陥りやすいため、認知療法では、ものごとを別の視点から捉えられるように促していきます。
 一般に認知療法を行うのは軽症の「うつ病」や神経症に近い場合です。抑うつ気分が強いときや、思考力の低下がみられたり、悲観的で否定的な考え方にとらわれていて周囲の意見を受け入れることができない状態の時には勧められません。
 また、精神療法にも副作用があります。精神療法を受けるときは主治医に相談する方が良いでしょう。

 認知療法については、それだけで本が1冊書けるくらい奥が深いので詳細は割愛します。興味があったら、検索してみて下さい。
【無けいれん電撃療法】
 患者の頭部に電極をつけて、100ボルト前後の電流を2〜3秒間流す治療法です。現在では手術室で全身麻酔をかけ、筋弛緩薬を投与して通電時のけいれんを抑えて行われます。入院し、週に1〜3回、合計で6〜12回行われます。即効性があるため、自殺の危険性が高く、抗うつ薬の作用を待てない患者や、抗うつ薬が効かない患者に行われます。施術前の記憶が一部飛ぶなどの副作用がありますが、1ヶ月程度で元に戻ります。安全性が高く、効果が高いことから欧米では比較的良く行われており、日本でも近年見直されつつある治療法です。

【光療法】
 「季節性うつ病」(高緯度地域に住む人に見られる症状で、毎年冬が近づくにつれて「うつ」状態になり春になると自然に治る)の治療として行われます。2500〜5000ルクス程度の光を1〜2時間浴びることで症状を改善します。

【私の場合】
 私の場合は以上の治療法は受けていません。これは私見ですが、精神療法は「うつ病」の治療というよりも、再発防止の側面が大きいのではないかと思います。私の場合、「二分割思考」(100%でなければ0%と同じ、という考え方)や「自己関連づけ」、「情緒的な理由づけ」の傾向があるようです。


質問:「やっぱり、そろそろカンベンしてほしい」と思っている。→はい/いいえ