「うつ病」の治療 -2-

 「うつ病」の治療のもうひとつの柱は「休養」です。

【休養】
 「うつ病」は精神的なエネルギーが枯渇した状態といえます。そこで心身ともにリラックスしてエネルギーが回復してくるのを待つ必要があります。休養は薬物療法と並んで「うつ病」の治療に欠かせないものです。「薬物療法と休養によってほとんどの『うつ病』は治る」と断言する精神科医もいるほどです。休養することで薬の作用も高まることが期待できます。状況が許すのなら、仕事や学校など、まとまった休みをとって休養するのが最善です。
● 休養しやすい環境を
 そうはいっても、特に会社の場合はなかなかまとまった休みをとれない場合も多いことでしょう。「うつ病」になった人が休養をとるには周囲の理解と協力が必要になってきます(これは当サイトを公開する理由でもあります)。職場、同僚、上司、ひいては会社が精神疾患に対する偏見を持たずに理解を持ち、休養をとりやすい雰囲気を作ることが不可欠です。
● 何もしないこと
 では休養している間はどう過ごしたらよいのでしょう?答えは「何もしないこと」です。「せっかく休んで時間もあることだし、何か有効に使おう」と思うこと自体が休養に失敗していることになります。文字通り「何もしなくてよい」のです。前述のように「うつ病」になりやすいのは真面目な人が多い傾向があり、休んでいることに罪悪感を感じ、休養の時間も真面目に有効な過ごし方を探してしまいがちです。しかし基本的に「うつ病」は意欲が低下する病気です。その状態で無理に何かをしようとすることは症状を悪化させるだけです。何もせずにゴロゴロして、自然に「何かしよう」と思えるようになるまで待つのが正しい休養の過ごし方といえます。

【私の場合】
 幸い、私の場合は上司や会社の理解もあり、18ヶ月間(私の場合の休職可能限度いっぱい)という長期に渡る休養期間をとることができました。これにはとても感謝しています。
 私の休職中の生活は本当に「何もしない」で過ごすことがほとんどでした。それでも気が向いたときには音楽を聴いたり本を読んだり、散歩に出かけたりして気の向くままに過ごしていました。もったいないようですが、今では治療上必要な時間だったと思うようにしています。それでも仕事を休んで何もしないことに対する罪悪感は常に頭の片隅にあって、結局最後まで消えることはありませんでした。
● ときには入院も
 専業主婦のように家庭が仕事の場になっている場合や、自営業の場合など、なかなか休みたくても休めないこともあります。そのような場合は思い切って入院するという方法もあります。この場合の入院は重症だからということではなく、あくまでも休める環境を作るためです。転地療養の一種と思って下さい。この場合でも家族の理解と協力が必要なのはいうまでもありません。家事を家族で分担するなどして、患者が安心して入院できるように配慮する必要があります。


質問:「こうなったら最後まで読んでやる!」と思っている。→はい/いいえ