「うつ病」と診断されるのはどんな症状のときでしょうか。 【DSM-IV:米国精神医学会による「精神疾患の分類と診断の手引き第4版」による診断基準】 基本基準 A.下記の9つの症状のうち、5つ以上が同じ2週間の間に存在し、病前の機能と変化している。 5つ以上の症状のうち、少なくとも1つは1.か2.である。 ※ 明らかな身体的疾患、または気分と一致しない妄想や幻覚による症状は含まれない。 B.症状は混合型エピソード(躁うつ病)の基準を満たさない。 C.症状は著しい苦痛や、社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。 D.症状は、薬物による生理学的作用や、一般身体疾患(例:甲状腺機能低下症)によるものではない。 E.症状は別離によるものではない。愛する者を失った後、症状が2ヶ月を超えて続くか、著名な機能不全、無価値感への病的なとらわれ、自殺念慮、精神病性の症状、精神運動制止があるという特徴がある。 【私の場合】 以上はアメリカでの診断基準ですが、世界保健機構(WHO)でもほぼ同様の診断基準(ICD-10)を設けています。また日本でもこの診断基準によって診断が行われています。原文が英語のため日本語としては少し読みづらいですが、要するに身体的な病気でないのに、2週間以上の間、上記の1.、2.のうち少なくともひとつを含めて5つ以上の症状が続き、それが原因で精神的な苦痛が生じ生活に支障をきたしている場合には「うつ病」の可能性がある、ということです。 尚、この診断基準は、「これにあてはまったら『うつ病』ということにしましょう」という基準を明確化するのが目的ですので、臨床の現場では必ずしも杓子定規にこの診断基準に照らし合わせて診断するということではありません。医師が患者から受ける印象というものも加味されることを付け加えておきます。 【18のチェック項目】 精神科医の笠原嘉(かさはら よみし)氏が臨床の現場で使用しているチェック項目というものがありますので紹介しておきます。ご自身だけでなく、身近な方についても以下のような兆候がないか気をつけてみる必要があると思われます。 (1) 朝いつもよりも早く目が覚める。上記のうち、(1)〜(5)は朝の不調に関連したチェック項目です。「うつ病」では朝の調子が悪く、午後から夜にかけて上向いてくる「日内変動」がみられることがよくあります。 (6)〜(10)は仕事に関するチェック項目です。この中では(7)が特に重要です。決断といっても大きな決断ではなく、ささいなことの決断がなかなかつかないということがあります。これでは仕事の段取りがつかず、サラリーマンにとって致命的といえます。 (11)〜(15)は家庭でのチェック項目です。(11)についてはいくら注意しても注意しすぎるということはありません。自殺をしてしまったら取り返しがつかないからです。(15)は前述の「日内変動」に関連しています。 (16)〜(18)は身体の不調に関するチェック項目です。意外に大事なのは(17)だといわれています。 【私の場合】 |