ノビル(野蒜)/ユリ科、ネギ属


 蒜とはネギやニンニクなどの古い名前。この辺の古老は今でも、ニンニクのことをヒルという。それも長くヒールという。

 

今冬はことのほか寒く、畑の白菜や葱はずいぶん霜枯れてしまったが、野生のノビルは強い。そこいら中でこのように青々と葉を伸ばしている。それも群生している。教会の南側の石垣の上などは去年の種がこぼれたのだろうか、苗床のように4〜5cmに伸びた新芽がそろって並んでいる。

 

緑白色の葉の断面を見ると根元は三日月形だが、上にいくにつれ三角形になる。地中には大きいと径が2cm以上にもなる真っ白な鱗茎がある。初夏、花茎が伸びて槍先のように尖った白いつぼみを付け、やがて傘形の花序に淡紫色で6弁の小さな花をつける。花が終わると小さな球が固まった珠芽となる。

 

  若葉とこの鱗茎を食す。「ぬた」にするのがおいしいが、生の鱗茎に味噌をつけて食べてもなかなかのものである。とにかく、ノビルは採ってもとっても、再び生えてくる強い生命力を持っている。

 

2006年2月28日 榛名町本郷にて



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