ヨモギ(蓬、艾)/キク科ヨモギ属
 この辺ではモチグサという。先日、何十年ぶりに若芽を摘んで来て、米の粉と混ぜて、丸めて蒸かして草餅を作った。なかなか懐かしい味であった。
 本州、四国、九州の山野に普通に生えている多年草。近くを流れる烏川の川原にいけば、同じ仲間のカワラヨモギが勢力を誇っている。
 昔の人には、きわめて有用な植物であった。野原で切り傷などを負ったときは、この葉をもんで傷口につけた。消毒薬である。長く伸びた茎を刈り取ってきて、風呂に入れれば香りよい薬湯になって、体が温まる。陰干ししたものを煎じて飲めば、胃腸の働きを助ける。おなじく陰干しにした葉を手でもんで、粉々になった茶色の葉を吹き飛ばすと、葉の裏の白い毛が残る。これがモグサでお灸に使う。小倉百人一首の中の、「かくとだに えやはいぶきのさしも草 さしも知らじな 燃ゆるおもいを」との歌は、有名な伊吹山のモグサにかけて歌った恋歌である。
 昔の人はこのように、神が造ったものをそのままに利用していた。近代になって、人はさまざまな薬を開発してきた。それらは劇的に効くものもあるが、同時に副作用も多い。もういっぺん、神が創造された大自然を見つめてみたい。

2004.02.
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