マムシグサ(蝮草)/サトイモ科、テンナンショウ属

 

薄暗い林の中や、屋敷林のなかに生えている。葉柄が発達して茎のようになった偽茎の模様が蝮の色柄に似ているし、その先につく苞、仏炎苞は蛇が鎌首をもたげたような形をしているので、このような名が付いた。子どものころはなんとも、気味悪がったものである。

群馬県はコンニャクの一大産地である。下仁田コンニャクが有名であるが、そのほか利根、吾妻地域でもずいぶん作っている。今は輸入品に圧倒されているが、贔屓目ではなく、やはり本場物はうまさが絶対に違う。

コンニャクはサトイモ科、コンニャク属。この辺の農家では、庭先などに植えておいて、根塊が大きくなったころを見計らって掘り出し、自家製のコンニャクを作る。昨年もいただいたが、歯ごたえがなんともいえない旨さである。

マムシグサも同じ科であって、葉の形なども似ているが、これは有毒植物。主な成分はサポニンや蓚酸カルシュウム。実や根塊を生食したりすると、麻痺がおこったり、粘膜障害を起こすという。しかし、毒も使いようによっては薬というわけで、根塊をすりおろして、捻挫の痛み止めに使ったり、乾燥して生薬としていろいろに使うというが、この辺ではついぞ聞かない。

サポニンはいろいろな植物に含まれており、以前、住んでいた御茶ノ水には、江戸時代、大きなサイカチの木があったので、いつか、そこはサイカチ坂と呼ばれるようになった。しばらく前に 千代田区 が再びサイカチの木を植えて、今は大木になっている。

秋になるとねじれた20cmにもなる豆状の実がなるが、これにはサポニンが含まれていて、水に浸けてもむと泡が立つ。この辺では、エゴノキが多いが、エゴノキの果皮も同じようにサポニンを含み、泡が立つ。石鹸ほどではないが、界面活性作用があり、戦時中は洗濯に使ったことを覚えている。

マムシ草は雌雄異株である。育つときの栄養状態によって変わるのだという。雌株の場合、仏炎苞の中に、棒状の花序があり、萼も花弁もない花が咲く。これが秋になると、真っ赤な粒々をつけて、短いトウモロコシのような形となって目立つ。先週、所用で軽井沢に行った折、サンセット・ポイントに登ってきたが、そこにも2株、真っ赤なマムシグサの実が立っていた。

 

2005年10月20日  榛名湖 沼の原にて

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