フシグロセンノウ(節黒仙翁)/ナデシコ科、センノウ属

 この辺では、「ボンバナ」とよぶ。お盆のころ山に咲くからである。このあたりの里山にもあるし、榛名富士のまわりでも、よく見かける。森の中の草地にぽっかりと朱赤色に咲いている花はなんとなくなまめかしい。

センノウとは、京の嵯峨の仙翁寺に生えていたことから名づけられたと言う。これは茎の節が黒味を帯びているので、それに「フシグロ」という名がついた。

 もう、30年前にもなろうか、開園したばかりの軽井沢植物園に子どもたちを連れて訪れたことがある。以来、ほぼ毎年少なくとも一回は訪ねているが、そこで出会った佐藤邦雄先生からさまざまなお話を毎夏、子どもたちはお聞きしながら植物に興味を持つようになった。長男は3年ほどかけて、軽井沢に自生する植物を500種以上も採集し、標本にして、小学校6年生のとき夏休みの特別研究として出したこともあった。

佐藤先生はお年を召されたが、相変わらずお元気で、この夏もお目にかかることが出来、サイン入りのご本もいただいた。有難いことである。

植物園の南側にある湿地には、以前、同じ仲間の「エンビセンノウ」が一本あった。いまは、幾鉢か鉢で育てている。燕尾と言われるだけあって、茎の頂にかたまって咲く深紅色の五弁の花の先は燕の尾のように深く裂けている。

もう一つ同じ仲間に、「センジュガンピ」がある。これは背が高く、楚々とした姿、白い小さな花をつけ、北アルプスの玄関口の徳沢周辺や南アルプスの広河原から大樺沢の入り口にかけてもよく見かける。

名の由来は分からないとする本が多いが、日光の千手ヶ原に自生していたからという説もある。ガンピの意味もわからない。「センノウ」の中国名は岩菲とされているが、手許の字源を引くと「菲」の意味は「花の麗しい貌」をいうとあるが関係あるのであろうか。

 

2005年8月14日  碓氷峠旧道にて

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