ユウスゲ(夕菅)/ユリ科、ワスレグサ属  

 ユウスゲは榛名町の町の花である。6枚の花被片は淡黄色で実に気品のある花である。町の花にはそのほか、梅、梨の花も定められている。

7月中旬から8月の下旬にかけて、榛名湖を従えた榛名富士の麓の草原一帯にかけてユウスゲをはじめ、マツムシソウなどさまざまな高原の花が咲きみだれる。私はもう40年以上も毎年、季節ごとにカメラを担いで訪ねている。沼の原には、「ゆうすげの道」と称する一周の道が整備されており、足の弱い人でもゆっくりと歩ける。特に北側は広い木道が原の中心部まで整備されていて、車椅子でも安心して入って行って楽しめる配慮がなされている。

 ちなみに属名であるが、学名はHemerocallis thunbergii (へメロカリス+人の名前)、すなわち、「一日の美しさ」、日本語のワスレグサは手許の「大言海」によると中国の詩経に、「諼草、食之令人忘憂」とあるところから文字読みにより作った名であろうと説明している。

 この仲間には、この辺のあぜ道、野原に咲いているノカンゾウ(野萱草、橙赤色、6弁花)、ヤブカンゾウ(橙赤色、八重咲き)、また、ニッコウキスゲとして有名なゼンテイカ(橙黄色、6弁花)がある。これらの花は1日花で朝、つぼみが開き、夕にはしぼむ。ただ、ユウスゲだけは夕方に咲いて、翌日の昼ごろまでにはもう、アブラムシだらけになってしぼむ。このうちノカンゾウとヤブカンゾウだけは葉が柔らかく、若芽を茹でて食べられるが、ほんのりとした甘さがある。

 朝日新聞、7月10日(日)版の「花おりおり」に取り上げられていたので嬉しくなった。そこには長野県の浅間山地方に咲くこの花をアサマキスゲとよぶが、それがほとんど姿を消し、もっか、復元作業中であると書いてあるのを見て心が痛む。榛名湖畔の草原でも町がずいぶんと手入れをしている。



2005年7月8日  榛名・ゆうすげの道にて

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