キブシ(木五倍子)/キブシ科、キブシ属

 4月14日、木曜日。あまりに天気が良かったので、久しぶりに榛名山に撮影に行ってきた。頂上はまだ冬のままで、沼の原のレンゲツツジ、ヤマツツジの芽はまだ硬かったが、途中の林道はキブシ、ツノハシバミ、アブラチャン、ダンコウバイ、フサザクラと満艦飾で、誰も通らない山道を一人で満喫してきた。これから順を追って紹介していこうと思う。

 キブシは樹高が5mほどの落葉の低木。写真で見るように、春、葉に先だって淡黄色の豆のような花をたくさんつけた穂状の花序を枝から垂らす。長さは4〜7cmであった。だから、この辺では木藤(キフジ)とも言う。

雌花が咲きおわると、小さな楕円形の果実が連なって垂れ、秋に黄色く熟す。果実にはタンニンが多く含まれ、これを粉にしたものを付子、五倍子(フシ、ウルシ科のヌルデの葉などに寄生するヌルデノミミフシによって、葉や枝の組織が異常に増殖した瘤から採取し、インクの原料などの染料に、特に江戸時代までは既婚の女性の鉄漿付け(お歯黒)の染料として使われた)の代用に使った。木五倍子という和名はここから来ている。

キブシの枝の髄はヤマブキとおなじように白く、密なスポンジ状になっているので、子どもころは、これを押し出し、篠で作った鉄砲の玉として遊んだ。今は目の敵にされているが、杉の実を玉にした杉鉄砲、ユキノシタ科のウツギ(卯の花)の実を使ったウツギ鉄砲もあった。これはあたると痛かった。



2005.04.
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