ジンチョウゲ(沈丁花)/ジンチョウゲ科、ジンチョウゲ属

 東隣りの嶋方さんのお庭のジンチョウゲが陽のあたる方から花をほころばせ始めた。これが満開になると強烈な香りを放つ。沈丁花は香りが沈香のごとく、花は丁子に似ていると名つけられたという。室町時代に中国より渡来した常緑の低木である。枝は非常に柔らかく、いかようにも曲がる。
 春、枝の先に花をいくつも集めて咲かせる。花弁に見えるのは同科のミツマタの花と同じ萼で、筒状の花冠状をなす。外面は落ち着いた紅紫色、中は粉白。先が四つに裂けて反り返っている。園芸種では付け根のあたりが薄緑がかった白花のものもある。
 以前、東京にいるとき庭に植え、ずいぶんと大きな株になったが、ある年、突然、立ち枯れてしまった。原因は、前年の冬の大雪で枝が押しつぶされ、傷の出来た根から菌が入り病気になったためであった。それで同じ場所に挿し木をし、根付いたので喜んでいたところ、今度はウイルスにやられ、葉は萎縮し、やがて黄色くなって落ち、二度と葉は出なかった。病気で枯れたジンチョウゲの跡に続けて植えるときまって病気になるということを後で教えられた。今度の原因はウイルスで、ほとんどのジンチョウゲについているというが、樹勢が強いときは負けないようだ。
 ジンチョウゲは雌雄異株で、日本にあるのはほとんどが雄株なので、花が咲いても実はならない。ただ、ときに先祖がえりして、めしべが元気になり、いくつかの実をつけることもあるというが、私は見たことがない。
花を摘み、天日で干したものを煎じた液でうがいをすると、のどの痛みや歯痛に効くという。

沈丁の薄らあかりに たよりなく 歯の痛むこそ かなしかりけり
                            北原白秋



2005.03.
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