ネコヤナギ(猫柳)/ヤナギ科、ヤナギ属

 原色牧野植物大図鑑にはカワヤナギと出ている。別名は花穂を子犬の尻尾に見たててエノコロヤナギ。この辺では昔からコロコロとよぶ。
 榛名町には利根川の支流、烏川が西から東に流れていて、子どものころは四季を通じての遊び場であった。春先、岸辺に咲く銀白色のコロコロの花穂を摘み、手のひらに入れてそっと揉んでいると、やがて白い毛が穂先に細く伸びていって、その名の通り尻尾のある子猫となった。また、夏には叢生している枝を切って、川にうなぎ針を仕掛ける道具に使った。曲げても折れないし、たとい折れても、その皮は強く、仕掛けが外れることはなかった。
 今から60年前はこの川で泳ぎながら川の水を飲み、持っていったキュウリやトマトを川の水で洗って食べた。カジカ(鰍)やウグイなどの魚影は濃く、石の下を探って、素手でずいぶん獲れた。夕暮れになると小さなカジカ(河鹿蛙)が透き通るような声で鳴いていた。
 これも昔々の話、今は隣接市の大工場群が上流で大量に取水するので、この辺の水の流れは激減し、川原は荒れ果ててしまった。今は川底にヘドロがたまり、川岸の石は汚れきっている。川原にはハリエンジュ(ニセアカシヤ)などの外来植物がわがもの顔に生い茂り、水辺に生えていたヤナギ類は、いまは苦労して探すほどになってしまった。小鮒釣りし、かの川も耕地整理によって、コンクリートで固められ、カワニナも住めず、したがって蛍もいなくなった。あぜ道のイヌコリヤナギの茂みも消えた。ただ、幸か不幸か山の方は手が入らないので、榛名の山の沢筋に行くと今もヤマネコヤナギ、キツネヤナギなどを見ることができる。
 榛名山麓の町つくりネット・ワークの面々はいま、水辺の再生に向けて動き出している。その中でも戸塚さんは特技のカヌーを使って、ふたたび子どもたちを川に戻そうと奮闘している。


2005.03.
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