キンカン(金柑)/ミカン科、キンカン属

 中国原産で日本には鎌倉時代のころに渡来してきたという。後に学名がつけられるとき、日本で採集されたのかジャポニカがついてしまったのは奇妙。
 伊豆の小田喜さんの庭では毎年たくさん採れていたが、榛名に来てみると、裏の菊枝さんの庭先に2mほどの木があって、今、鈴なりである。
 キンカンはミカン科の中でも耐寒性があるので、こんな寒いところでも実る。
 夏に白い花を咲かせ、盛んに芳香をはなっていたが、秋になっても花をぽつぽつとつけていた。以前、カリフォルニア州のサンフェルナンド・ヴァレーにロングさんを訪ねたとき案内された広いオレンジ畑には実と同時に花も咲いていたので不思議に思ったことがあるが、実際、同じ科のレモンの鉢植えなどを育ててみると、初夏から秋にかけて何回も花が咲く性質があることが分かった。
 写真のキンカンは実がまるく、もともと果皮は苦味とともに甘さがあるが、今の時期になると特に甘さが増してくる。噛んだときに口の中いっぱいに広がる感触はなんともいえない。ただ、果肉はいつまでたっても酸っぱい。
 子どものころ、戦争の始まる前後であったが、税務署にいた父の転勤で水戸市にしばらく住んでいたことがある。大工町の夜店に母と行って、赤い小さな網袋にはいったキンカンを買ってもらったこと。風邪をひくとそれを砂糖で煮たとろっとした汁を飲まされたことなどを今も覚えている。今月の中曽根家の家庭集会のお茶受けには甘く煮たキンカンが出されて、懐かしかった。
 果皮にはポリフェノールの一種であるヘスペリジンが含まれており、それが毛細血管の浸透圧を調整する働きをするので効くようだ。また、ビタミンCを多く含むので、風邪ひきにも疲労回復にもうってつけである。



2005.01.
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