スイセン(水仙)/ヒガンバナ科、スイセン属

 東京地方では伊豆半島下田の爪木崎の大群落が有名である。遊歩道も整備されているから、12月から1月にかけて、だれでも楽しむことが出来る。
教会の庭の水仙はまだ顔も見せていないが、この写真は教会員の中曽根君江さんのお庭に咲いている珍しい水仙を撮ったもの。
 スイセンは地中海沿岸が原産で、中国を経て日本に入ってきたという。水仙の名はその花の香りと気高さを仙人にたとえ、中国の古典にある、「水中の仙人」ということばから名づけられたもの。日本では漢名をそのまま使っている。
 私が私淑する飯泉 優先生の「草木帖」より引用させていただくと、「スイセンの仲間は世界で30種ほど、その中の日本産は本場のフサザキスイセンがシルクロードをへて中国に持ち込まれ、中国で野生化したものが、黒潮に流されて日本列島に漂着してふえ広がったものと考えられており、その変種とするのが一般的である・・・これらの野生種はノズイセンとか、ニホンズイセンと呼ばれることもあり、一重咲きの雪白花で、すてきな香りを放つものが基準型である。」と説明されておられる。
 そういえば、スイセンの名所は爪木崎にしろ、福井県 越前海岸、兵庫県 淡路島、和歌山県 太地町とみな、海岸であるのもうなずける。子どもが貝類学会に入っていたころ、貝の採集に同行して、ずいぶんと各地の海に行ったが、よくスイセンなどの球根が波打ち際に打ち上げられていたことを思い出す。
シルクロード、そして黒潮。島崎藤村も落梅集で、「椰子の実」を歌っているが、なんと悠久のロマンを感じさせられる花ではないか。

初雪や 水仙の葉の たはむまで  松尾芭蕉



2005.01.
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