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ユズ(柚子)/ミカン科 ミカン属 今年、この辺のユズは当たり年である。まだ、多くの家の庭先や畑の隅の木にたくさんの実が陽の光に輝いている。俗に桃栗三年、柿八年、柚子の大馬鹿十八年というが、実際にはユズはカラタチの台木に接木したものを植えるので、もっと早く実をつけるし、実生でも10年もすれば実をつけるようになる。 ユズは中国原産の常緑小高木。ミカン科にしては珍しく寒さに強い木である。枝には大きなトゲがあるから、登って実を採ることは出来ない。本家のユズを今年はずいぶんといただいて友人にも送らせていただいてとても喜ばれた。 今は高枝はさみという道具があるので、採るのもずいぶんと楽になった。昔は竹の先を割って、そこに挟んでとっていたから大変であった。 ユズの葉は面白い形をしていて、写真でも分かるように葉柄につばさがある。初夏に五弁の白い花を咲かせ、花はミカン科特有のよい香りがする。 子どものころ、母はでき秋になると、ユズの砂糖漬けを大きなガラス瓶に作っていた。風邪を引くとそれをお湯で割って飲ませてくれた。指先のしもやけやひびには、ねっとりとするそのままを塗ってくれた。不思議によく効いた。 でこぼこした皮の香りはシトラールという精油などで、これは血行をよくする。袋の中身のすっぱさは、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸で、これは思い出しただけでも分かるように、胃液の分泌を促し、また、疲労回復にもよい。ミカン属には共通してヴィタミンC、フラボノイドを多く含むので、活性酸素をやっつける抗酸化作用もある。 今も続く日本各地の風俗に冬至の晩の柚子湯がある。湯治と融通の語呂合わせであると聞いたことがあるが、それはともかく、お湯の中にぷかぷか浮かぶ柚子、湯気とともに立ち上るよい香りは本当に風邪も寄せ付けない丈夫な体になるような気がしたものだ。ただ、我が家でもそうだが、現今はやりの船形のプラスチックのバスではぴんと来ない。やはり、たっぷりとお湯の張られた椹や桧の深い風呂桶で、目の前に浮かぶ柚子を見てこそ柚子湯であろう。 ![]() 2004.12.
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