ツタ(蔦)/ブドウ科 ツタ属

 いま、ツタの葉が紅葉して美しい。ツタは気根や巻きひげが変化した吸盤で木や石垣、建物などに張り付いて、かなりの高さまで這い上がる。葉は元の方は心臓型であるが、先は3裂した葉となる。春先の若葉はつややかに光ってとてもきれいだ。夏、葉腋に黄緑色のめだたないごく小さな花をつける。やがて直径6〜7mmの薄緑の球形の液果がブドウよりはるかにまばらな房を作り、熟すと紫黒色になる。
 以前、奉仕していた御茶の水キリストの教会の外壁のタイルが何十年も経て剥離し始めたとき、大々的な修理もできず、ネットを張るなどというみっともない話が出てきたので、一計を案じ、子どもの行っていた千代田区立一橋中学校、そこは校章もツタの葉のデザインであるが、蔦の校舎として有名であった。
 そこから幾枝かいただいてきて挿し木をしたところ、あっという間に6階の建物を見事に覆ってしまった。そして安全に一役買ってくれたことがあった。 あるとき、古賀校長が訪ねてこられ、一緒に黒く熟した実をとって口にいれたところ、あまりの渋さにあきれて吐き出しながら、鳥はよく食べるものだと二人して感心したことを思い出す。根元は直径が5cmほどにもなる。このくらいになると一日に吸い上げる水は何トンにもなると聞いた。
 ツタは春の若葉もよいが、秋の紅葉は美しかった。近所には美術学校やデザイン・スクールがあったので、よく生徒が写真を撮りに来たり、スケッチをしていた。道行く人たちが真っ赤に色づいた葉を何枚も拾っていった。
 ただ、困ったことはブドウスズメ(蛾)の幼虫がたくさん発生し、その大きな糞が無数に落ちて、雨が降ると黒褐色の水溜りを作ることであった。
 この写真は先輩伝道者を山梨に訪ねた折、小淵沢の「道の駅」で撮ったもの。この赤松林には同じようにツタウルシ(ウルシ科)も真っ赤に色づいていた(写真)。旅行者がその葉を取ろうとしていたので注意した。個人差はあるがツタウルシの樹液は激しいかぶれを起こす。医学的にはアレルギー性接触皮膚炎といい、原因物質(アレルゲン)ウルシオールという有機化合物にその人の免疫機能が過剰反応して起こる。接触したところが腫れ上がり、高熱も出て1週間も寝込む人がいる。症状が出たら、そのうちに直るだろうなどと待っていないで、すぐに皮膚科に行ったほうがよい。私はかぶれたことはないが、痛み、かゆみも大変なものだという。ツタウルシの葉は先のとがった3小葉からなる複葉なのでツタとは区別はつくと思うが、その他、特徴ある羽状複葉の小高木で見事な紅葉を見せるウルシ(ウルシ科)、ヤマウルシ(ウルシ科)、ヤマハゼ(ウルシ科)、ハゼノキ(ウルシ科)も同様に注意したほうがよい。


2004.11.
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