キキョウ(桔梗)/キキョウ科 キキョウ属
 万葉集 巻八 三十五以下に、「秋ノ野ニ、咲キタル花ヲ、指折リ、掻キ数フレバ、七種ノ花・・・・芽之花(ハギ)、乎花葛花(オバナ=ススキ、クズ)、麦之花(ナデシコ)、姫部志(オミナエシ)、又藤袴(フジバカマ)、朝貌之花(アサガオ)」と出てくる。一番、最後のアサガオはキキョウを指すといわれる。  古くから秋に咲く代表的な花として日本人に愛でられてきた。横山大観など多くの画家が好んで描き、染色には桔梗色という名を残した。私がお世話になっている医師、土岐家の紋所は桔梗。ふくらんだ蕾をかたどった桔梗袋は昔、婦人が財布として使っていた。ちなみに、お隣の韓国の民謡で、エイヘイヨ、エイヘイヨ、エイヘイヨと繰り返す、「トラジ」とは桔梗のことである。

 教会の庭にはクズ(アメリカではカズ、ジャパニーズ・アイヴィーといい、あたり一面を覆い尽くしてしまう害草として嫌われている)だけは、ご遠慮願っているが、ほかは、全部そろっている。ハギは私の背だけを越すほどに伸び、何年かすると駐車場から礼拝堂にいたる道を覆うようになるだろう。ススキは南側の石垣沿いに生えている。シナノナデシコは咲き終わった。フジナデシコ、ムシトリナデシコ、ビランジ(マンテマ属)は今も咲いている。オミナエシはもうすぐ咲く。フジバカマは東京地方では絶滅危惧種であるときいているが、この近所ではかなり目に付く。教会の庭には隣の島方一好さんからいただいた苗が、今は大きな繁みになっている。キキョウは美しく次々と咲き続けている。ツリガネニンジン(ツリガネニンジン属)は咲き終わった。

 こんなきれいな花を咲かせるキキョウであるが、その若芽はツリガネニンジンと同じく春の香りを運ぶ若菜である。おひたしにしていただくと最高の味。ゴボウの形の根はあく抜きしてから漬物にする。この根にはキキョウサポニンという配糖体の一種が含まれており、界面活性剤の働きをする。水に入れてかき回すと泡がたつ。それで乾燥させた根を煎じたものを服用すると去痰に効くという。いつものことながら、服用は専門家の指示を仰がなければならない。


2004.08.
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