ミルトス(和名:銀梅花)/フトモモ科 ギンバイカ属
 榛名に来ることが決まったころ、何かのとき、「向こうに行ったら庭に聖書に出てくる草木を植えたい。」と話したのを、泉さんご夫妻が覚えていてくださって、「我が家の太陽のよく当たらぬベランダにおくよりも、榛名に行ったほうが幸せでしょう。」とミルトスの小さな鉢をプレゼントしてくださった。
 気候が合ったのか、一年たった今、みごとに葉が茂って、その中にたくさんの葯のある白い小さな花をつけている。ミルトスは地中海、西アジア原産の小さな常緑樹で、学名は、Myrtus communis.L(L=リンネ、スエーデンの生物学者で、植物分類学を確立した人)。仲間には沖縄に行くと必ずジュースでいただくガヴァ、コアラの好きなユーカリ、香料で有名なクローブ(丁子)がある。

 ミルトスはネヘミヤ記 8章15節によれば、第七の月の祭りのときに住む仮庵を作る材料のひとつであった。これだけ葉が密生していると、雨露をしのぐ屋根材としても、また、下に敷く床材としても、やわらかく最適であろう。
 イザヤが55章13節に、「いばらの代わりに、もみの木が生え、おどろの代わりにミルトスが生える。これは主の記念となり、絶えることのない永遠のしるしとなる。」と書いたように、かぐわしく、照り輝く葉、清らかな白い花々と食すことのできる実を結ぶミルトスは神の恵みのしるしでもあった。

 旧約聖書に出てくる数少ない女性の名前がついた本の一つに、エステル記があるが、エステルとはペルシャ語で「星」の意味、へブル人である彼女の本来の名はハダサでミルトスの意味である。枯れることのない輝く葉、清らかな白い花、その上、丈夫な潅木なので、彼女を表すにはぴったりの名前である。

 ミルトスの葉を摘んで嗅いでみると、とてもよい香りがする。実も香りがあって食べられると言う。これは茴香(セリ科 フェンネル)と同じようにアネトールをたっぷり含む精油があるためで、その他にリンゴ酸、クエン酸やビタミンCも含んでいる。抗菌性があるので民間薬としては抽出液を歯周病、痔の治療や入浴剤に使うという。いつか、お風呂に入れて見たい。


2004.07.
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