ヒナザクラ(雛桜)/サクラソウ科 サクラソウ属
 鎌先温泉で全国伝道者研修会があったので、始まる前の6月7日、朝早く刈田峠に車を停め、芝草平までのなだらかな南蔵王を半日歩いてきた。ちょうど、東北地方が梅雨入りする前で、さわやかな日差しの中、恵みの一刻であった。
 縦走路の両側にはミツバオウレンの白い花がずっと続いていて、マイヅルソウ、タケシマランも蕾が大きくなっていた。オオカメノキの清楚な花もあった。
 前山あたりのハクサンシャクナゲ、コメツツジはまだまだ蕾もかたい。くぼみになっている道に花びらが散っているので、見上げると強風で1メートルほどにちぢこまっているミネザクラが崖の肩に咲き残っていた。また、はっきりしないが、おそらくムラサキヤシオツツジ(>写真)と思われるツツジが満開であった。木陰にはツマトリソウ、ミヤマハンショウズル、ミヤマスミレ、ヒナリンドウミヤマカタバミ、ショウジョウバカマがところどころに咲いていた。
 杉ガ峰を越えたあたりからは、山道の東側にピンクのヒメイワカガミ、純白のチングルマが途切れることなく咲いていて、盛んにカメラを向けさせた。
 目を上げて、はるか西を見れば飯豊連峰、月山の頂は、いまだ雪で白い。そして、この縦走路の日陰にも、ところどころ雪が1メートル近く残っていて、渇いたのどを潤してくれた。都会の雪と違い、とにかく味がよい。
 芝草平の地塘周辺には草丈が5センチほどのヒナザクラが一面を覆っていた。これは本州北部の高山の湿地帯に生える多年草でサクラソウ科である。学名は、Primura Nipponica,Yatabe(日本のサクラソウ科、サクラソウ属で、谷田部さんが見つけて命名したという意味)とつけられている。平標山や巻機山に咲く同属のハクサンコザクラの花はピンク色で、径は2センチ、花茎はときに20センチにも達するが、ヒナザクラは遠くからは何だろうと思うほどに小さい。だから傍にいって、腰をかがめ、ルーペを覗いたときの感慨はひとしおである。


2004.06.07
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