ミズバショウ(水芭蕉)/サトイモ科 ミズバショウ属
 中田喜直作曲、江間章子作詞の「夏の思い出」は、昭和24年にNHKのラジオ歌謡として、まだ、戦中戦後の傷いえぬ日本中の心を癒してくれた歌である。「夏が来れば思い出す。はるかな尾瀬、遠い空・・・」と歌いだす、日本を代表するすばらしい歌曲の一つで、私の大好きな歌でもある。
 その頃の尾瀬はまだあこがれの場所で、今のように尾瀬がブームになるのは、もう少し後である。ただ、江間章子さんが、どうして、「みずばしょうの花が匂っている、夢見てにおっている」と書いたのか不思議でならない。たしかに、そのすがすがしい姿にふさわしい香りを期待したいところなのだが、英語では、Skunk Cabbage (スカンクのキャベツ)といわれていることからもお分かりと思うが、異臭があるのだ。
 学名には、「カムチャツカの」という名がつけられているように、日本では中部以北の山の湿地に自生するが、今では花屋さんで鉢植えの苗を売っているし、この辺の古い屋敷では庭の木陰にも見ることが出来る。
 以前、御茶の水教会の仲間と戸隠高原に水芭蕉を見にいったことがあったが、昨年、ここ榛名に来てから話をするうちに、こんなに近い尾瀬なのに、行ったことがないという教会の仲間、7人を連れて5月15日に鳩待峠から入って、シーズン前の尾瀬ヶ原を歩いてきた。この写真は峠の雪道を降りきったあたり、山の鼻の手前で撮ったもので、尾瀬ヶ原の本格的な開花はこれからである。
 白いのは苞で、その中に黄色の小さな花が集まって穂のようになっている。雪解けの水の中に咲くさまは、みんなを実に楽しませてくれた。
ただ、ご多分にもれず尾瀬もあまりの訪問客の数に、湿地帯も富栄養化し、お化けのようなミズバショウの葉が出てきている。環境問題はこのようなところにもある。多くの人々に尾瀬を見せたいし、また、そっとしておきたいというディレンマが私自身にもある。


2004.05.
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