スギナ(杉菜)/トクサ科 トクサ属
 石炭紀に栄えた大型のシダ、鱗木の大森林かと見えるだろうか。休耕田を覆うスギナをクローズ・アップで撮った写真である。こどもたちはツクシだれの子、スギナの子と無邪気に歌うが、農家にとってはスギナほど厄介な草はない。教会の花壇でも草むしりとスギナの追いかけっこが春から秋まで続く。
 少し苦味があって、独特の春の味覚であるツクシを食べたことのある人はけっこう多いと思う。これは胞子茎である。昨晩、NHKテレビでブラジルの大草原に立つ不思議なアリ塚を視たが、アリでいえば繁殖の女王アリ、スギナは栄養茎で、働きアリである。だから親とか子の関係ではなく、役割の違いである。

 「もし、からだ全体が目であったら、どこで聞くのでしょう。もし、からだ全体が聞くところであったら、どこで嗅ぐのでしょう。しかしこのとおり、神はみ心に従って、からだの中にそれぞれの器官を備えてくださったのです・・・
そこで、目が手に向かって、「私はあなたを必要としない」と言うことはできないし、頭が足に向かって、「私はあなたを必要としない」と言うこともできません・・もし一つの部分が苦しめば、すべての部分がともに苦しみ、もし一つの部分が尊ばれれば、すべての部分がともに喜ぶのです。あなたがたはキリストのからだであって、一人ひとりは各器官なのです。」=新改訳聖書= コリント人への手紙T 12章17〜27節

 地下茎が深く走りまわっているので、地上に出ているスギナを根から引き抜いたとしても、それで退治できたことにはならない。切れて残った根から、すぐにスギナが出てくる。農作、園芸の都合でいえば、はなはだ迷惑な草である。
 ところが、薬効となると、これはまた万能選手で、スギナを入れた風呂は桃の葉と同じようにアセモ、湿疹に効くので、昔はよく入った。ザラザラした感触を今でも覚えている。山でウルシにかぶれた(この辺では、カセルという)ときは、よくつぶしたスギナの汁を塗りつけるといいといわれた。今、多くの子どもたちが悩まされているアトピーにも、スギナのお風呂が効くという。
 この辺では昔、これを陰干ししたものを、煎じて熱さましに子どもに飲ませたり、腎臓炎の薬、利尿の薬としても使った。他にも民間療法としていろいろな病気に使われたというが、しかし、今ではゲンノショウコやドクダミ以上にほとんど薬草としては忘れられているから、スギナは寂しいことだろう。


2004.05.
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