ワサビ(山葵)/アブラナ科 ワサビ属
 水上の山奥に病気の知人を見舞った。里は桜が満開なのに、日陰には雪がへばりついて冬枯れの景色。武尊や谷川、朝日岳はまだ真っ白である。坤六峠への道は5月の20日まで閉鎖と看板が立っていた。そのあたり、いつもは深い雪が溶けるといっぺんに春が来るのだそうだが、この冬は雪が少なく、もろに寒さに襲われたので、今年の山菜は遅いとご主人はさかんに恐縮される。
 フキノトウを採りに誘ってくださった。一人、どんどん登っていくと、落葉色の斜面に咲き乱れる淡紫色や白色のキクザキイチゲソウの群落を見つけた。カメラに収めようと足を向けると、その下の小さな清流になんとワサビが群生しているではないか。思わず叫んでしまった。ご主人がやって来て、「前はまっとあったけんど、よその者が根は太くならねえのに、根こそぎ持ってっちまう。」と嘆かれる。それでも若茎を両手に持ちきれぬほど摘んでくださった。なんだか隠してあった宝を見つけてしまったようで、申し訳ない思いである。
 ご主人は食べ方を教えてくださった。塩を一つまみ入れたお湯にさっと通して水で冷やし、よく水を切って、蓋のある器に入れて、しばらくおくと、うまくなるという。早速、夕食にそのようにしていただいたが、山葵の辛さといい、香り、歯ざわりといい、ことばに言い尽くし得ぬ絶妙な山の味に感嘆した。
 近年、世界的に寿司が有名になって、アメリカあたりで見事な寿司に舌鼓をうったりする。ワサビを英語でホース・ラディッシュと訳すが、これは同じアブラナ科ではあってもワサビ大根というヨーロッパ原産のものを指す。ローストビーフなどについているあれである。ワサビはWASABI、日本特産である。
 「主に信頼し、主を頼みとする者に祝福があるように。その人は、水のほとりに植わった木のように、流れのほとりに根を伸ばし、暑さが来ても暑さを知らず、葉は茂って、日照りの年にも心配なく、いつまでも実をみのらせる。」 エレミヤ書 17章7〜8節

2004.05.
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