エビネ(蝦根)/ラン科 エビネ属
 9年前の阪神淡路大地震のとき、御茶の水キリストの教会の皆さんと3年にわたり奉仕させていただいた。国内外の多くの方々の応援をいただいて活動の場をいただけたことを今も感謝している。その中の一人に、春日井市に住んでおられた伊藤さんがいらっしゃった。この方のご紹介をいただいて、瀬戸市の窯元からトラックいっぱいの陶器をいただいて、娘さんの石本さんと二人で運び、宝塚市の仮設住宅の方々に差し上げたことがある。二回目には、春日井市の老人会の方々が丹精を込めて焼かれたお茶碗を差し上げて、大変喜ばれたことも忘れがたい思い出である。この老婦人は庭いっぱいに盆栽をお世話していらっしゃって、最後のとき、記念にと私にエビネを一鉢くださった。ここ群馬に移って来てからは株も増え、今、盛んに花をつけている。
 伊藤さんは先年、亡くなられたが、この花を見るたびに、「善を行うことと、持ち物を人に分けることとを怠ってはいけません。神はこのようないけにえを喜ばれるからです。」とのへブル人への手紙 13章16節を思い出す。
 写真に見るように、直立した茎に、径2センチほどの花をたくさん下向きにつける。ガク片は茶褐色、側花弁と唇弁はピンク色。唇弁の後ろに蜜をためておく距がある。学名がCalanthe(うつくしい花)、discolor(異なった色の)と付くように、さまざまな色を持つエビネが江戸時代にさかのぼって作り出され、今も続いて同好の士が品評会などを催して競い合っているという。和名は太めの地下茎にたくさんの節があり、それを蝦の尻尾に見たてたことから。
 エビネの薬効は面白い。誰が見出したのか感心してしまうが、エタノールで全草から抽出した液をハゲに効く薬として使う民間療法がある。抗菌作用もあるのでフケ性にも効くという。漢方では九子連環草といって、血の巡りをよくする薬として使われているともいう。こんな上品な花からは想像もつかない。

2004.04.
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