ショウジョウバカマ(猩猩袴)/ユリ科 ショウジョウバカマ属
 昨秋、本家の宰太郎さんからいただいた小苗を教会の庭に植えた。本来は北方の植物で、湿り気のある草地や林を好むというが、まだ、庭木も小さく、その上、上州名物の空っ風で、水を撒くそばから土は乾きに乾き、この冬は大変であったろうと同情していたが、けなげにも3月15日に花を開いてくれた。
 猩猩(しょうじょう)とは昔の中国に出てくる空想上の猿に似た獣で、人の顔と手を持ち、酒を好むという。能に、「猩猩」という曲がある。孝行息子のもとに猩猩が現れて、酒を酌み交わし、舞を舞う。猩猩は彼の孝心を愛で、彼に酒の湧き出る泉を与えたので、彼は豊かに暮らしたという筋である。猩猩緋という色がある。いかにも酒酔いの顔らしい黒みをおびた鮮やかな赤をいうが、浅間石の陰に咲いたショウジョウバカマの総状の花は、ご覧の通り可憐なピンクである。前述の能面、装束から名づけられたといわれるが、かわいそうな気もする。
 ナズナもそうであったが、ショウジョウバカマも冬の間、葉をロゼットにして、冬陽をいっぱいに受けている。根は短いが太く、しっかりしている。
 涙の預言者といわれるエレミヤは、その書の17章7、8節に「主に信頼し、主を頼みとする者に、祝福があるように。その人は、水のほとりの植わった木のように、流れのほとりに根を伸ばし、暑さが来ても暑さを知らず、葉は茂って、日照りの年にも心配なく、いつまでも実を実らせる。」と書いたが、このような教えは自然をよく観察するときによりよく理解せられる。

2004.03.
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