サンシュユ(山茱萸)/ミズキ科 サンシュユ属
 宮崎県椎葉村の仕事唄に「稗搗き節」がある。その詞の一部を長い間、私は庭の山椒の木と聞き覚えていた。いつの春であったか、伊勢原市の小川さんをお訪ねした折、夫人が丹精しているお庭を拝見させていただいた。そのなかの背丈を越す木に目が留まった。枝は茶褐色、幹はところどころ剥げているが、その枝には多数の黄色の花がアワコガネギクのように塊になり咲いていた。
 近寄ってみると、3ミリメートルほどの黄色い針の先を花火のように広げた散状花がいくつとなく重なり合っていた。サンシュユであった。このとき、はじめて小川さんによって私の聞き違いであることが分かった。
 ところが、一昨年、飯泉 優先生が山と渓谷社から出された「草木帖」を贈呈くださり、その中で渡来年代などから推して、サンショウの方言、「サンシュ」であると考えられていると教えてくださり、またまた訂正させられている。
 中国原産。江戸中期に渡来したと言われてきたが、近年の韓国沖の沈没船の調査で、初渡来は戦国時代にまでさかのぼるだろうと飯泉先生はおっしゃる。果肉がチョウセンニンジンに次ぐ妙薬として入ってきたという落葉小高木である。しかし、今は観賞用の花木として、いろいろなところに植えられている。
 教会の庭には、はじめからサンシュユを植えようと決めていた。念願叶い、花を目の前にして、実によい気分である。秋には、アキサンゴという別名があるように、液果が赤く熟すというので今から楽しみにしている。
 薬効としては日に干した果肉(漢方では、これを山茱萸と称する)を煎じて飲むのであるが、病後の滋養強壮、強精、動脈硬化、めまい、耳鳴り、前立腺肥大、高齢者の夜尿症等に聞くという。有名な漢方薬の八味地黄丸には、これが処方されている。いずれも専門家の指示により服用しないといけない。

2004.03.
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