エルサレムに世界の注目が集まっています。報道の中で「この町はキリスト教の聖地でもある」とされることがありますが、果たして本当にそうでしょうか。
確かに詩篇14:7には「イスラエルの救いがシオンから来るように」とあります。シオンとはエルサレムの別名です。もっとも、聖書全体を通してみると「シオン」は「神の都」を表す詩的表現であり、比喩的・象徴的な意味合いがあることがわかります。
そもそもキリスト教では特定の場所を絶対的な聖地とはしません。イエス・キリストも、神を礼拝する場所はエルサレムに限ったことではないと宣言しています(ヨハネ4:21-23)。
人種・民族の違いによる軋轢があったと思われるローマの教会に対して、「他の人に比べて自分だけ正しいと言える人はいない、一人もいない」とパウロは諭しました(詩篇14:3、ローマ3:10)。エルサレムをめぐる長年の争いを思うとき、また私たちの身近な所で人間関係がこじれた時に、考えさせられる言葉ではないでしょうか。(文責:小幡幸和)
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