羊飼いというと牧歌的な響きがありますが、当時のユダヤではよくある職業で、実際は大変な仕事でした。イエス様がお話のなかで、「わたしは、良い牧者です。よい牧者は羊のために命を捨てます。」とおっしゃられたように、１匹の羊さえ、とっても大切にするので、人々に尊敬される羊飼いが大勢いたといわれています。

その夜、羊と一緒に野宿をしていた羊飼いたちに、天の使いは御子イエスの誕生を一番先に告げました。

旧約聖書に預言されていたメシヤを長年、本当に待望していたのは、宗教的エリートでも、絹の布団にくるまっていた王でもなく、このような名もない人々であったということは驚きですし、うなずけることです。

主なる神は、そのような彼らにイエスの誕生を最初に世界に告げるという大切な仕事を託されたのです。羊飼いには、その職業柄、機敏さ、忠実さといった気質が養われていましたから、彼らはすぐにベツレヘムに行きマリやとヨセフと、飼葉桶に寝ておられた幼子を難なく捜し当てることができました。

彼らは幼子の両親にはもちろんのこと、周りの人々に天使が告げたことを正確に知らせました。それを聞いた人々は驚きましたが、一人、母マリヤだけは、これらのこと、いままであったことをすべて心に納めて、自分の身に起きたことに思いをめぐらせていました。羊飼いたちは、見聞きしたことが、何もかも自分たちに天使が告げた通りであったので、神をあがめ、メシヤにお会いできたことを喜びほめたたえる歌を歌いながら帰っていきました。

神はことをなすのに、多くの場合、人々をお使いになられます。日の当たらない仕事でも、小さなことでも、忠実にこつこつと務めをはたしていますと、神は見ていらっしゃいますから、ある時、あなたを大切なお仕事に選んでくださいます。