『ある夜、主は幻によって』 
新約聖書 使徒の働き 18章9-11節

 アテネを去って後、コリントに導かれたパウロは、そこで、終生のよき同労者となるアクラとプリスキラという夫婦に出会いました。彼らはパウロと同じようにテント作りを商売とする、同業者でありました。ユダヤの子ども教育は独特で、どのような家庭、王宮ですら子どもには手に職をつけさせていたのです。ですからパウロも必要に応じテントを作り、生活を支えてきたのです。
 やがてマケドニヤからシラスとテモテも下ってきたので、パウロはみことばを教えることに専念し始めます。多くのコリント市の人々も救いに導かれ、伝道は順調に進展するようにみえましたが、しかし、当時のコリントは富と権力と堕落の渦巻く市でして、それは次第に暗黒の大きな波となって、パウロを襲い、さすがのパウロも恐怖におののき始めたのです。
 そのようなある夜、主は幻によって、「恐れないで、語り続けなさい。黙ってはいけない。わたしがあなたとともにいるのだ。」と励ましてくださいました。 そこでパウロは、われに帰り、主なる神とともに、一年半ここに腰を据えて、彼らの間で神のことばを教え続けました。

 私たちの人生におきましても、しばしば失望、時には絶望するときすらありましょう。物事はすべて悪い方向に、悪い方向にいくように見え、次第に生きる希望を失い、恐怖におびえ、そのような時に欲しい頼りにできる仲間もいない。家族すら遠い存在に思えると嘆くことがあるかもしれません。
 しかし、イエス・キリストの神は、どのようなことがあろうともあなたを決してお見捨てなさらない神です。「わたしがともにいるのだから、恐れるな。わたしがともにいるのだから、あなたの希望は必ず実現されると待ち望みなさい。あなたの目には見えないかもしれないが、主にある、あなたの兄弟姉妹が、すでにあなたの周りを取り囲んでいるのだ。これから続々と目の前に現れてくる。」と語られます。これはパウロだけではありません。あなたにも同じく語られているのです。私たちが絶体絶命とすくむときにこそ、しっかりと目を開いて、目の前に差し出されている神の恵みのみ手に縋ってください。
 あなたがたった一人で歯をくいしばり、頑張る必要はないのです。勝利の主があなたとともにおられます。十字架の死に打ち勝ち、よみがえられた生ける神がいらっしゃいます。そのお方とともに、今日を生きてください。そのとき、あなたの恐れは喜びに変わり、明日もまた、生きることができます。

2004.10.10(日)


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